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介護業界における2025年問題〜人手不足は解消するのか〜

介護業界における人手不足問題が一向に改善しません。

 

政府は人材確保に向けて補助金・事業支援金の拡充に取り組むものの、昨年11月時点で有効求人倍率が3.40倍に達するなど、求職者が集まらない状況が続いています。2025年度には団塊世代の全てが75歳に達し、約38万人の人材不足に陥ると厚生労働省は試算します。また、離職率も大卒者で38.4%と依然高く、人材をいかに引き留めるかも問題となっています。

 

すでに超高齢化社会に突入している日本社会。間近に迫る2025年問題が間近に迫るなか、どのように立ち向かえばいいのでしょうか。

 

 

 

目次

  1. 1 介護業界の現状
  2. 1-1 2025年、38万人の人材不足に
  3. 1-2 介護福祉士の養成学校定員割れ46%
  4. 1-2 資格を取っても働いていない!?
  5. 2 介護ロボットが人手不足を解決する?
  6. 2-1 みまもり介護ロボット「Tapia(タピア)」
  7. 2-2 介護ロボット市場414億円に
  8. 3 介護の「きつい」イメージを改善!

 

1 介護業界の現状

厚生労働省の第1回福祉人材確保対策検討会で配布された資料によると、介護労働者の就業形態は非正規社員に依存しており、とくに訪問介護員では8割にのぼることがわかりました。

 

  正規職員 非正規職員
介護職員 57.0% 41.5% 常勤17.9%
短時間23.6%
訪問介護員 16.8% 80.3% 常勤8.5%
短時間71.8%

 

また、施設の介護職員を年齢別にみると、30〜49歳の割合がもっとも高く、30〜39歳で23.6%、40〜49歳で22.5%となります。

 

男女別の構成比では、39歳までは男性のほうが多く、40歳以降は女性の介護職員のほうが多くなる傾向です。全年齢でみれば、男性23.1%、女性74.5%と、圧倒気に女性に偏っていることがわかります。
さらに訪問介護員の場合、男性7.3%、女性89.9%となり、女性偏重の傾向が強まります。

 

  19歳以下 20〜29歳 30〜39歳 40〜49歳 50〜59歳 60歳以上
施設介護職員 全体 1% 19.7% 23.6% 22.5% 19.5% 11.4%
男性 1.3% 30.9% 34.0% 15.3% 9.7% 6.7%
女性 1.1% 16.2% 20.5% 24.8% 22.5% 12.8%
訪問介護職員 全体 0.2% 4.4% 12.7% 23.1% 28.1% 30.2%
男性 1.1% 16.0% 25.8% 18.7% 19.0% 18.4%
女性 0.1% 3.4% 11.5% 23.4% 28.9% 31.2%

 

1-1 有効求人倍率は3倍超

求職者数に対する求人数をあらわす有効求人倍率は、1倍を超えると売り手市場=需要が供給を上回り、一般的には歓迎される指標となります。

 

ところが、介護など人手不足問題を抱える産業では、3倍を超えており、たとえば150人の募集にたいして50人ほどしか求職者が集まらない状況となっています。

 

介護の求人情報を専門に扱うニュースサイト「kaigokensyu.com」によれば、福祉分野全体の求人求職動向で、2011年の有効求人倍率は1.48倍(全業種0.65倍)でしたが、2015年には3.75倍(全業種1.20倍)まで上昇しています。2015年の福祉分野の有効求人倍率を見てみると、一般業種の3倍以上の有効求人倍率になっており、求職者1人に対して求人数が3.75人分もあり、人材が足りていない状況が明白となります。

 

・有効求人倍率の推移

  有効求人数(人) 有効求職者数(人) 有効求人倍率
2011年 41,386 28,004 1.48
2012年 51,371 22,946 2.24
2013年 59,860 21,371 2.80
2014年 69,852 20,692 3.38
2015年 72,742 19,391 3.75
2016年 73,539 18,189 4.04

(参照:介護求人状況と有効求人倍率

 

 

1-2 介護福祉士の養成学校定員割れ46%

職場で中心的な役割を担う介護福祉士※を養成する学校で、定員に対して2016年度の入学者の割合が46%だったことがわかりました。50%を割り込むのは08年度以来、2度目となります。

 

日本介護福祉士養成施設協会によると、2016年度の定員枠1万6704人に対し、入学者数7752人と、06年度以降最低を記録。定員自体も過去10年で37.8%減少しました。

 

養成学校

(参照:官庁通信社 2017年3月7日付)

養成学校に入学する学生が減少している理由について、官庁通信社によれば、若者からみた魅力の乏しさを指摘する声が多いとし、次のように語りました。

 

「民間の施設で働く介護職員の月給は、全産業の平均より約9万円安い21万5000円だ(2016年「賃金構造基本統計調査」)。2年間でおおむね200万円(入学金込み)の学費を払って資格を取っても、それに見合う待遇を受けられる保証はない。わざわざ介護福祉士にならなくても、「初任者研修」などを経て現場からキャリアを始めることも可能だ。しばらくして資格の必要性を認識すれば、「実務経験ルート」で働きながら目指す道がある。そう考える人が多い」

 

介護福祉士の資格をとってから現場に就いても、無資格で現場から始めた人と待遇が大して変わらないといった現状がうかがい知ることができます。

 

※ 介護福祉士は、介護職唯一の国家資格であり、介護福祉士の名を用いて、専門的知識及び技術をもって、身体上又は精神上の障害があることにより日常生活を営むのに支障がある者につき心身の状況に応じた介護を行ない、並びにその者及びその介護者に対して介護に関する指導を行なうことを業とする者とされる。

 

 

1-3 資格を取っても働いていない!?

また、厚労省のデータによれば、介護福祉士のうち、介護職として従事(障害分野等他の福祉分野に従事している者を除く)している者は50%程度とされています。

 

資格を持っていても介護職に就かない、いわゆる潜在介護福祉士は現在50万人いるとされています。
介護福祉士登録者数1,085,994人(平成24年時点)のうち、関連業務に従事している人の数は579,401人となります。

 

・有資格者数と従事数の比較

潜在

 

資格を持っているのに働かない主な理由として、「家事や育児と両立できないから」が挙げられます。実は潜在介護士のうち8〜9割が女性とされ、そのうちの約半数が育児中にあるとされます。夜勤もある介護は子どもがいる家庭ではその両立が難しく、働きたくても働けないといった事情があるようです。

 

そのほかは、「精神的に疲れるから」「体力的に疲れるから」といった理由が続きました。

 

両立

(参照:anreport「介護・看護職における潜在的有資格者の属性」)

 

 

2 介護ロボットが人手不足を解決する?

人工知能(AI)を活用する取り組みが、介護の現場でも導入され始めたようです。経済産業省と厚生労働省は、ロボット技術による介護現場への貢献や新産業創出のため、2013年に「ロボット介護機器開発5か年計画」を策定し、ロボット介護機器の開発と導入に戦略的に取り組む姿勢を明らかにしました。

 

 

2-1 みまもり介護ロボット「Tapia(タピア)」

民間の現場ではすでにAIを搭載した介護ロボットの導入が進んでいます。
たとえば、ヘルスケア事業におもに手がけるエルステッドインターナショナルは、昨年、コミュニケーション可能なAIロボット「タピア」を販売開始しました。

 

tapia

(▲介護ロボットのタピア 相手の表情を察知して会話をすることが可能)

 

タピアでは、時間や場所にとらわれず、スマートフォンでリアルタイムにモニタリングできる「みまもり機能」を搭載。ビデオ通話のほか、写真撮影も可能でいつでも健康状態をチェックすることができます。

 

また、顔認識機能を搭載しており、使用者と状況に応じた日常会話を交わすことも可能です。このほか起床時間、就寝時間のタイムスケジュール管理や、天気予報の読み上げなど便利な「生活サポート」機能も搭載されています。

 

・ タピアの機能

みまもり機能 一定時間、タピアとの交信がない場合、家族へ通知することや、離れた場所にいても、スマートフォンからリアルタイムにモニタリング可能。また、写真撮影も可能で、いつでも家族の近況を報告できたり、健康状態をチェックできる。ビデオ通話機能は顔を見ながら会話ができ、離れた場所でも、より一層つながりを感じることができる。
生活サポート機能 起床や就寝の時間などのスケジュール管理を行うほか、天気予報やニュースの読み上げ、登録したスケジュールのお知らせ機能も搭載。
会話機能 顔認識機能を搭載し、さらに感情表現と好感度システムによって、ユーザーの喜怒哀楽の認識や会話のペース、会話内容などを判別し、状況に応じて表情豊かに会話可能。

(参照:PRTIMES 2016年8月22日付

 

発売以降、日本のみならずアメリカ・カナダ・台湾・韓国・香港など世界各国で介護施設を中心にさまざまな現場で導入が進んでいます。

 

 

2-2 介護ロボット市場414億円に

昨年、政府は未来投資会議で2020年度を目処に、AI・介護ロボットを診療・介護報酬の対象とする方針を固めました。民間の介護事業を促す狙いがあり、2025年までには介護用ロボットの市場は414億円に達すると見込まれています。

 

NTTデータ経営研究所によれば、ICT活用があまり広まっていない介護業界もスマートフォンなどのデジタル機器の普及で、今後は広がりを見せるだろうと予測しています。

 

「介護サービスを提供するプロセスもアナログな方法で発展してきた。しかし、現在では、一般家庭におけるパソコンの普及も目覚ましい」

 

さらに

 

「パソコンやwifiの導入コストが安価になった現在、高齢世代のICTリテラシー向上を踏まえれば、ネットワークを使用した介護サービス・製品の普及を阻む理由はなくなっているだろう。むしろ、ICTや先端技術を積極的に取り入れ効率的で効果的な介護サービス・製品が求められているだろう」

 

と語ります。

 

高齢者のICTリテラシーの向上とともに、新しいテクノロジーを受け入れる体制が整い、日常的な健康状態をデータで管理するニーズは高まると予想されました。(参照:NTTデータ経営研究所「AI、介護ロボット等先端技術を利用した介護業界の展望」

 

 

3 介護の「きつい」イメージを改善!

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介護業界には「きつい、汚い、給料が安い」といった3Kと呼ばれるネガティブイメージが先行しているため、若者が集まらないとの指摘もされます。

 

そこで厚生省は、介護現場の特性に即した3つの新たな3つの魅力「楽しさ」「深さ」「広さ」を広めようと児童·生徒、地域住民へ発信する情報共有イベントを開催。介護に関心のない若者や主婦層にも正しく理解をしてもらおうとの取り組みを始めました。

 

今は若くても時が経てば誰もが高齢者。その時に介護する職員が1人もいない世の中にならないよう、人手不足問題について一人一人が理解を深める努力が求められています。

 

 


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