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タクシー料金の値下げは本当にお得?

タクシーの初乗り料金が下がった――街では利用者から歓迎する声が聞かれます。

 

国土交通省は1月30日よりタクシーの初乗り料金を730円から410円に下げることを決定。短い距離を利用しやすくしたことで、いわゆる「ちょい乗り」需要に応える形となります。若者や主婦、高齢者などこれまで利用者のメインターゲットではなかった客層を取り込むのが狙いですが、利用者にとってお得になったのでしょうか。

 

 

 

目次

  1. 1 初乗り料金410円に
  2. 2 利用者にとって得なのか損なのか
  3. 2-1 お得に乗ることができるのは6.5キロメートルまで
  4. 2-2 街の声の反応は?
  5. 3 ドライバー「儲けが減る」との声も

 

1 初乗り料金410円に

従来、タクシーの初乗り運賃は2.0キロメートルで700円〜730円と規定されていました。国交省はこれを先月30日から1.052キロメートルで380円〜410に改定。東京23区と三鷹市、武蔵野市内のすべてのタクシーに適用されます。

 

・新運賃と旧運賃の比較

  旧運賃 新運賃
初乗り(2.0km) 加算運賃 初乗り(1.052km) 加算運賃
上限運賃 730円 280mごと90円 410円 237mごと80円
下限運賃 700円 292mごと90円 380円 256mごと80円

(参照:国土交通省プレスリリース

 

初乗り運賃の値下げに関しては昨年7月にその実証実験が都内で実施されていました。国際的にみると日本の初乗り運賃は高いとの批判が多く、訪日観光客増加の背景も受けて国交相はタクシー料金の値下げに踏み切りました。

 

また、タクシーの利用者が年々減少していることも大きな要因。10年前と比較するとタクシーを利用する人は約3割減少しており、総収入では2割減となります。くわえてタクシーの車両数も減少傾向にありました。

 

国土交通省はこの度の料金改定について「タクシーは、年間21億人の輸送を担い、各地域の経済、社会、日常生活を支える公共交通機関である。しかし近年はドライバーが多くの地域で減少し、収入も減少している。今後は利用者のニーズに合致したサービスを提供するのが急務であり、利用者の利益にかなうことはもとより、需要の拡大を通じて、タクシー事業の収益基盤や労働条件の悪化を食い止め、さらにこれらを改善することにつながる」とコメントしました。

(参照:国土交通省「タクシー問題についての現時点での考え方」)

 

 

2 利用者にとって得なのか損なのか

運賃が320円下がったことで初乗りはしやすくなりましたが、どのくらいの距離までお得に乗ることができるのでしょうか。

 

 

2-1 お得に乗ることができるのは6.5キロメートルまで

この度の改正では、約2kmまでの利用なら運賃は引き下げになるところがポイントです。約2kmから約6.5kmまでの運賃は引き下げになる部分と引上げになる部分に分かれ、6.5km以上になると値上げとなります。

 

・ 距離別の新旧運賃比較

  1km 1.5km 1km 4km 9km 15km 30km
現行運賃 730円 730円 730円 1,450円 2,980円 4,960円 9,730円
新運賃 410円 570円 730円 1,450円 3,130円 5,130円 10,250円
増減 -320円 -160円 ±0円 ±0円 +150円 +170円 +520円

 

そもそも料金改定は2キロメートル以下の短距離利用者を増やすのが狙いで、東京ハイヤー・タクシー協会の川鍋一朗氏は「短距離では値下げし、6.5km以上は値上げとなるが、全体としてみると金額は変わらない。運賃引き下げというよりは『運賃組み換え』」と説明。今後3年以内に運賃組み替え後の状況について事後検証を行うとしています。

 

 

2-2 街の声の反応は?

タクシーの利用料金値下げについて利用者の反応は概ね好評です。 値下げされたタクシーを利用するかどうかのアンケート調査では60.0%が「利用回数が増える」と回答。現在の月間平均利用回数は4.8回ですが、新料金では7.0回となる計算です。また、「ほとんど変わらない」と回答した人は29.7%でした。

 

・値下げタクシーに関するアンケート調査

・利用回数が増える 60.0%
 月に6回以上増える 15.8%
月に3~5回程度増える 20.3%
月に1~2回程度増える 23.9%
・ほとんど変わらない 29.7%

(参照:MONEYzine

 

 

3 ドライバー「儲けが減る」との声も

流し

 

利用者の間ではタクシーが利用しやすくなったと好評ですが、タクシードライバーの意見は割れました。あるタクシー運転手は「初乗りが増えても、中距離・長距離を利用するお客さんが増えない限り儲けが減るのではないか」と否定的です。

 

交通政策に詳しい関西大学の安部誠治教授は「新規需要を開拓できるが、この動きは流しの多い大都市特有の現象ではないか」と分析します(参照:産経新聞)。「流し」とはタクシー業界における営業方法の一つで、タクシーで走りながらお客さんを探すことです。「流し」は、効率的に行えるかどうかが儲けに直結するため、ドライバーにとっては重要な営業方法となっています。

 

初乗り料金が値下げしたことで、駅やホテルでお客さんを待ち続ける「待ち」の営業から「流し」に切り替えるドライバーが増えるのではないかと懸念されており、一概に料金の値下げがいいとは言えない状況です。

 

一方、料金の改定を歓迎しているタクシー運転手は、「高齢者や若者など広い世代にタクシーを利用してほしい。タクシーは便利なんだということを多くの人に知ってもらいたい」と話しました。

 

また、初乗り410円という価格について外国人利用者の8割が「安い」「妥当」と回答しました。2020年には東京オリンピックが控えているため、外国人観光客による利用増加も見込まれます。

 

新たな客層の開拓も重要ですが、自動運転技術の進化でタクシードライバーの必要性が問われ始めた今、タクシー業界全体の見直しが必要とされています。

 

 


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