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雇用される若者、起業する高齢者

一億総活躍社会——人口減少が止まらない状況で政府が採用したのは、女性も高齢者も、働くことができる人は可能な限り働こうという政策です。女性活躍推進法の整備や定年退職年齢の引き上げも行われました。

 

なかでも期待が寄せられているのが高齢者の労働力。体力がある近年のシニア世代は定年退職後も働く意思が強く、起業をする人が増えているようです。

 

 

目次

  1. 1 起業家全体の3割は高齢者
  2. 1-1 年齢別にみた起業家の割合
  3. 1-2 定年起業家が増えた理由
  4. 1-3 高齢者が働きやすい環境づくり
  5. 2 シニア世代が好む起業分野とは?
  6. 2-1 シニア起業の特徴
  7. 2-2 男女別のシニアの希望する仕事
  8. 2-3 シニア起業の成功事例

 

1 起業家全体の3割は高齢者

シニア起業

(参照:THE HUFFINGTON POST

 

内閣府の調査で60歳以上の7割が企業の再雇用義務の上限である65歳以降も働くことを望んでいることがわかりました。

 

 

1-1 年齢別にみた起業家の割合

起業希望者及び起業家の年齢別に見たデータでは、60歳以上の割合が年々増加。1982年では全体の8.1%だった60歳以上の起業家が、2012年には32.4%と4倍になりました。

 

全年齢別にみても60歳以上の起業家の割合がもっとも高く、少子高齢化の波が起業分野にまで及んでいることが分かります。

 

・起業家と起業希望者の推移

起業年齢

(参照:中小企業庁 平成26年「中小企業白書」)

 

一方、若者の起業家・起業希望者の割合は減少しています。1979年時点では22.1%だった29歳以下の起業家は、2012年にはほぼ半数の11.9%まで落ち込みました。

 

 

1-2 定年起業家が増えた理由

定年起業

(参照:AARP「Small Business」)

 

シニア層は若者に比べて自己資金が豊富であり、社会経験を蓄積していることが起業を後押ししているのではないかと中小企業白書では分析されています。

 

また、退職後も何らかの形で働き続けたいと希望する高齢者が多く、その一つの選択肢として起業を選択するため、シニア層は起業の動機が明確で意欲も高いとしました。

 

社会経験が不足している若者は起業することに自信を持てず躊躇してしまう傾向にあるようです。高度経済成長で未来に投資できた昔とは違い、バブル崩壊後に生まれた若者は安定志向。10年後、20年後はどうなっているか分からない不安から未来に投資するという考え方自体が生まれにくいようです。

 

 

1-3 高齢者が働きやすい環境づくり

職場環境

 

60歳以上で仕事を全くしていないという高齢者はどれほどいるのでしょうか。
総務省によれば60歳以上で職についていない、もしくは臨時的にのみ仕事をしているという高齢者は2709万人になります。

 

このうち、就職を希望する人は216万人、病気や家庭の事情以外で、理由なく就職を希望しない人が347万人いることが分かりました。

 

・生涯現役起業支援助成金の創設

政府はこういった高齢者を新たな労働力に結びつけたい考えで、60歳以上で起業した事業主を対象に、60歳以上の高齢者を複数雇えば必要な経費に対し200万円を上限に助成する制度を創設しました。

 

起業家の年齢が①60歳以上の場合、200万円を上限に雇用に必要な費用の3分の2、②40~59歳の場合、150万円を上限に費用の半分を助成します。

 

起業者の区分 助成率 助成額の上限
起業者が高年齢者(60歳以上)の場合 2/3 200万円
起業者が上記以外の人(40歳~59歳)の者の場合 1/2 150万円

(参照:厚生労働省HP「生涯現役起業支援助成金」)

 

生涯現役起業支援助成金は2016年の4月に創設された新しい制度で、40歳以上の中高年齢者が、起業によって自らの就業機会の創出を図ります。

 

・高年齢者雇用安定助成金の要件を緩和

高齢者の雇用に積極的な企業に支給される高年齢者雇用安定助成金の要件が緩和されました。

 

起業規模にかかわらず、1000万円を上限に定年引き上げなどの雇用環境整備にかかる経費の3分の2を助成します。これまでは定年を70歳以上に引き上げた企業に限り支給してきましたが、対象を66歳以上にまで拡大しました。

 

助成内容 助成率 助成額の上限
高年齢者活用促進コース 2/3 (大企業などは1/2) 1000万円
高年齢者無期雇用転換コース 対象労働者1人につき50万円(中小企業以外は40万円) 150万円

(参照:厚生労働省HP「高齢者雇用安定助成金」)

 

 

2 シニア世代が好む起業分野とは?

アクディブシニア

(参照:アクディブシニア城南)

 

若者による起業は、流行を敏感に感じ取り時代の潮流に合わせたスタイルが特徴的ですが、高齢者はどのような分野で起業するのでしょうか。

 

 

2-1 シニア起業家の特徴

50〜60代の高齢者はその豊富な社会経験と人脈を生かした分野で起業することが多いことがわかりました。

 

たとえば、前職の専門分野の経験を生かしたクライアントに対する「アドバイザー」や「コーディネーター」などのコンサル系の職種。または、人脈を生かした企業間を繋ぐ「営業代行」や「顧問」などの職種になります。(参照:月刊総務オンライン

 

 

2-2 男女別のシニアが希望する仕事

希望する職種は世代ごとで実にさまざま。50〜60代のシニア世代に人気の職種を調査したアンケート結果をご紹介します。

 

・ 現在無職の男性が希望する仕事

1位 事務(テレマーケティングは除く) 40%
2位 商品検査・仕分け 24%
3位 製造・組立作業 18%
4位 WEB関連専門職 12%
5位 医療・福祉関連 11%
6位 塾講師・家庭教師・インストラクター 11%
7位 ホテル・レジャー・スポーツ施設スタッフ 9%
8位 警備 9%
9位 営業 9%
10位 ドライバー、バイク便など運送関連の仕事・引越し 7%

 

・ 現在無職の女性が希望する仕事

1位 事務(テレマーケティングは除く) 56%
2位 スーパー/デパート/量販店のスタッフ 17%
3位 医療・福祉関連 17%
4位 商品検査・仕分け 16%
5位 塾講師・家庭教師・インストラクター 12%
6位 ファッション・アパレル販売 8%
7位 テレフォンアポインター 8%
8位 キッチン 8%
9位 ホテル・レジャー・スポーツ施設スタッフ 7%
10位 コンビニスタッフ 7%

(参照:an report「団塊世代、定年後の就業意識とは?50~60代のシニア労働力を知る」)

 

男女ともに人気職種の第1位は事務職となりました。働く意欲はあるものの、体力をあまり必要としない仕事がいいといった理由から事務職を選択する人も多いようです。

 

このほか医療系や塾講師なども男女で人気職種となっていますが、それ以外は好みが別れました。

 

男性では機械の製造・組立やWEB関連の仕事が上位にあるのに対し、女性はスーパー・デパートの販売スタッフ、ファッション・アパレル販売スタッフが上位にランクインしました。

 

 

2-3 シニア起業の成功事例

実際に定年退職後に起業した方の事例をご紹介します。

 

① 広告代理店退職後、講師紹介センターで起業

シニア大學

(参照:特定非営利法人「シニア大學」)

 

定年後10名の仲間と決起し、2004年に元気な高齢者の社会参加を支援するNPO法人シニア大学を設立した藤井敬三さん(74歳)。

 

講師紹介センターの事務局長として、現在約500名の得意領域をもつシニア講師をコーディネートしています。また、シニア社会人落語家として「笑いと娯楽の講座」も運営しており大盛況です。

 

② 米粉パン&シフォンケーキの製造販売事業で起業

 

カフェらいさー

(参照:カフェ らいさー

 

元銀行員の村上孝博さんは60歳で定年退職したあと、職業訓練プログラム「介護、農業、米粉パン」を受講。

 

直後に東日本大震災が発生し、「社会に役立つ起業を志したい!」と一念発起。日本の食料課題の一つである米の消費拡大の解決を目指して、米粉パン&シフォンケーキの製造販売事業で起業を決意しました。

 

現在は横浜で「カフェ らいさー」を開業し、地域コミュニティの場を運営しています。

 

(参照:ドリームゲート「シニア起業のススメ~楽しみながら“セカンドライフ起業”するコツ」)

 

前述のとおり、高齢者の働く意欲が高いですが、意欲に応じた就業機会は十分に提供されているとは言えません。特に年齢制限を理由に仕事に就けないケースが多く、60代男性の約3割が年齢を理由に求職活動をあきらめているというデータもあります。

 

高齢社会を迎える日本にとって、今後高齢者の労働力はますます重要になっていくでしょう。若者の雇用の確保も重要ですが、高齢者の雇用や起業を支援する社会環境も整備していかなければなりません。

 

 


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