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賃貸仲介業によるフランチャイズ加盟が話題

フランチャイズ起業といえば、コンビニエンスストアを始めとする小売りや外食が代表的ですが、不動産業のFC加盟が今注目されているのはご存知でしょうか。調査会社の矢野経済研究所によると、加盟店舗拡大とブランド認知向上のため、不動産紹介業など賃貸住宅の仲介を営む事業者によるフランチャイズ展開が活発化しているようです。既存直営店の再編を検討している業者も多く、今後も店舗増加、収益力強化に向けたフランチャイズ事業が続くと予想されています。

 

少子高齢化による単身世帯の増加や人手不足で働き方や変わりつつあるニッポン。その活動の根幹となる住居構造が今、変わろうとしています。

 

 

1 未来の不動産業界はどうなる?

2000年代に入ってからの国内の不動産業界はフロービジネスからストックビジネスを活用したものに移ったとされます。一般財団法人の不動産適正取引推進機構によると、17兆円を超える不動産市場の95%をストックビジネスが占めています。

 

 

 

1-1 フロービジネスとは

そもそもフロービジネス、ストックビジネスとは、顧客との契約形態による違いをあらわす専門用語です。
フロービジネスとは、英語のflow(流れる)から来ているとおり、顧客を流動的にすることで利益を獲得する形態を指します。フランチャイズビジネスで例えるならコンビニなどの小売業や、ファストフードなどの外食業がこれに該当します。

 

顧客への商品販売を主な業務とするビジネスでは、顧客が多ければ多いほど儲かる仕組みとなります。入れ替わり立ち替わり顧客が流れることで、店舗の収益増加につながるからです。

 

顧客との関係は一時的なものであり、継続的な契約関係にあるストックビジネスとは異なります。

 

 

 

1-2 ストックビジネスとは

一方、ストックビジネスは貯蓄・蓄積型のビジネスモデルです。英語のstock(ストックする、貯蓄・蓄積する)が示すとおり、お金を預けることで成立している銀行業や保険業などがこれに該当します。顧客を囲い込むことで長期的に安定的に収益を上げることができるシステムとなります。

 

最も代表的なのが不動産業です。顧客と継続的な関係を結び、定期的に賃料を得るビジネス形態となります。

 

ストックビジネスは、フロービジネスよりも顧客の獲得に時間と費用を要するのが特徴です。しかし、顧客を1人でも獲得すれば、新たに営業活動を行う必要がない場合もあります。アパート賃貸でたとえるなら、賃貸人が1人でも見つかれば、募集の広告を出す必要はなくなります。テナント賃貸でも店舗さえ入ればそのお店の売り上げに関係なく家賃収入を得ることになります。

 

長期的にみれば、もちろん安定期に賃料を払ってくれる賃貸人のほうがいいですが、フロービジネスと比べれば顧客と深い関係にあるビジネス形態となります。

 

01

(一般財団法人 不動産適正取引推進機構より)

 

 

 

1-3 不動産業の種類

不動産業は、①不動産仲介、②住宅賃貸料、③不動産賃貸の3つに分類することができます。

 

①不動産仲介とは、建物仲介や不動産代理、不動産仲介、賃家仲介などの不動産代理業・仲介業を指します。このほか、建売業(自ら建築加工しない)、マンション分譲、中古住宅売買、土地分譲などの建物売買業、土地売買業や、ビル管理、マンション管理、アパート管理などの不動産管理業(ビルメンテナンスは入らない)が該当します。

②住宅賃貸料とは、住宅賃貸、アパート賃貸、ウィークリーマンション賃貸、住宅公社、住宅供給公社、貸店舗業などの賃貸業・貸間業を指します。

③不動産賃貸とは、貸事務所業、貸店舗業、貸し倉庫業、土地の賃貸をおもな業務とする地主などの不動産賃貸業や、ガレージ業、自動車車庫業、モータープール業、駐車場管理業などの駐車場業を指します(一般財団法人 不動産適正取引推進機構より)。

 

 

 

1-4 不動産業の市場規模

不動産市場の付加価値の推移を「不動産流通」「住宅賃貸」「不動産賃貸」「不動産管理の」分野別にみると、「住宅賃貸」が1983年次と比較して大きく伸びていることがわかります。一方、「不動産流通」「不動産賃貸」「不動産管理」はあまり変化が見られません。不動産適正取引推進機構は、過去30年の不動産業マーケットを巡る環境変化要因に「インターネットの普及」「少子高齢化・世帯の変化」「国際化」「成長と鈍化の二極化」をあげました。

 

 

 

1-5 住宅市場の動向は?

少子高齢化で空き家が増え、持ち家も減っているとされる住宅市場。国土交通省が公表している資料によると、東京など首都圏の平成29年の持家は前年同月比4.1%減で13ヶ月連続して前年同月を下回りました。

 

また、貸家は前年同月比2.8%の減少となり、5カ月連続で前年同月を下回りました。
分譲住宅は前年同月比0.2%の減少となり、3カ月連続で前年同月を下回りました。
分譲住宅では、一戸建が前年同月比7.8%増加となり、2カ月連続で前年同月を上回りました。マンションが前年同月比9.9%減少となり、3カ月連続で前年同月を下回りました。

 

一方、大阪など近畿圏の持ち家は、前年同月比5.7%の減少となり、9カ月連続で前年同月を下回りました。
貸家は前年同月比2.0%の減少となり、3カ月ぶりに前年同月を下回りました。
分譲住宅は前年同月比6.1%の減少となり、3カ月連続して前年同月を下回りました。
分譲住宅では、一戸建が前年同月比6.2%の増加となり、2カ月ぶりに前年同月を上回りました。マンションは前年同月比18.9%の減少となり、3カ月連続で前年同月を下回りました。

 

 

2 賃貸仲介のフランチャイズ状況

賃貸仲介を営む事業者の店舗数調査(2016年9月時点)では、アパマンショップが店舗数1位であることがわかりました。

 

 

 

2-1 賃貸仲介業ってどんな仕事?

そもそも賃貸仲介業とは、住まい探しを行っている利用者に対してアパートやマンションなどの貸主または仲介会社として、入居に関する手続きやその他相談を行う事業者のことをいいます。入居後は管理会社として関わるのも一般的です。

 

公益社団法人の全日本不動産協会によると、賃貸業務、仲介業務、管理業務は次のように定義されています。

 

賃貸業務

「不動産会社が所有している物件を借りる場合、借り主は、不動産会社と直接交渉して、賃貸借契約を結ぶことになります。なお、不動産会社が所有者から一括で賃借した物件について、借り主に転貸するという形で賃貸借契約を結ぶこともあります」

 

仲介業務

「不動産会社は、借り主の住まい探しから入居までの全般をサポートします。物件の紹介や見学、貸主への入居申し込み、物件や契約条件の説明、賃貸借契約の締結や入居手続きのサポートなどを行います」

 

管理業務

「不動産会社は、貸主との管理委託契約に基づいて、入居者や物件の管理を行います。例えば、貸主が入居者管理を委託している場合、借り主は、入居後の賃料の支払いや設備の故障などの連絡、その他苦情の申し入れなどを管理会社に対して行います。ただし、管理業務の内容は、貸主との契約内容によって大きく変わります。また、不動産会社が貸主の場合は、その不動産会社が直接管理業務を行うこともあります」

 

 

 

2-2 最も勢いのある賃貸仲介フランチャイズ本部は?

調査会社の矢野経済研究所は、賃貸仲介業を主な事業とする主要9事業者の店舗数(直営店、フランチャイズ加盟店舗含む)を発表。最も店舗数が多かったのは、アパマンショップHDで1164店舗(直営103店舗、フランチャイズ加盟店舗1047店舗)となりました。

 

ついで、センチュリー21・ジャパンの906店舗(全店フランチャイズ加盟店舗)、エイブル418店舗(直営418店舗、フランチャイズ372店舗、海外11店舗)、スターツグループ587店舗(直営109店舗、フランチャイズ加盟店舗445店舗、海外33店舗)、東建コーポレーション580店舗(直営226店舗、フランチャイズ加盟店舗354店舗)、ミニミニグループ477店舗(直営241店舗、フランチャイズ加盟店舗236店舗)、LIXILイーアールエージャパン450店舗(全店フランチャイズ加盟店舗)、大東建託382店舗(全店フランチャイズ加盟店舗)、レオパレス21・309店舗(直営182店舗、フランチャイズ加盟店舗120店舗、海外7店舗)となりました。

 

順位 会社 直営店舗数 フランチャイズ(FC)加盟店舗数 総店舗数
1 アパマンショップHD 103 1047 1164
2 センチュリー21・ジャパン 906 906
3 エイブル 418 372 418
4 スターツグループ 109 445 587
5 東建コーポレーション 226 354 580
6 ミニミニグループ 241 236 477
7 LIXILイーアールエージャパン 450 450
8 大東建託 382 382
9 レオパレス21 182 120 309

 

フランチャイズ店舗が増加傾向にある現状について同調査会社は

 

「賃貸住宅仲介を主たる業務とする事業者は、賃貸物件管理業務による管理収入と入居斡旋仲介業務による手数料収入を収入源としている。直営店舗網を充実させるとともに、FC加盟店店舗網を拡充させることによりブランド認知度のさらなる向上を進め、事業者側とオーナーや入居希望者とのコミュニケーションをより緊密にしながら、管理戸数と斡旋件数の増加につなげる」

 

と述べました。

 

 

 

2-3 アパマンショップのフランチャイズ戦略

国内最大店舗数を誇るアパマンショップは、1999年、株式会社アパマンショップネットワークを設立しました。同年に賃貸斡旋のフランチャイズの展開を開始しました。その後、インターネットの普及とともに規模を拡大します。2004年には中国に現地法人を設立するなど海外進出を果たしました。ウェブサイトの機能強化に取り組むなどユーザビリティも向上させます。

 

2007年になると不動産販売フランチャイズを始め、翌月、韓国の現地店舗であるアパマンショップネットワークと加盟店契約を締結します。2008年には海外3店舗目となるタイ・バンコク店を設立します。その後は、吸収合併などの事業再編にとり組み、経営規模を拡大。2012年にはフランチャイズ加盟店が1000店舗を超えました(アパマンショップホームページ 事業沿革より)。

 

アパマンショップのフランチャイズ契約では、加盟すると①研修サービス、②反響サービス、③システムサービス、④情報提供サービス、⑤その他ネットワークサービスのメリットが受けられるとしています。

 

①研修サービスでは、人材育成のサポートと旬の情報を学ぶ機会を提供しています。定期的な研修を行うことで最も重要な人材育成のノウハウを身につけることができます。加盟オーナーが一堂に会する「フランチャイズオーナー会議」が、年2回設けられており、本部の役員・幹部から直接、今後の戦略展開について話を聞くこともできます。このほか、地域ごとのスーパーバイザーであるオペレーションフィールドカウンセラー(OFC)を配置し、エリアごとの特性に合った指導・支援を受けることもできます。

 

②反響サービスでは、集客力と収益アップを狙った全国的な広告戦略を展開しています。スマートフォン向け賃貸サイト「アパマンショップ」や、その他提携サイト・フリーペーパーなど各加盟店の戦略に応じたメディアを効果的に利用することができます。

 

③システムサービスでは、業務効率化を実現しているアパマンショップオペレーションシステム(AOS)を利用することができます。このほか賃貸管理システムの「APS」、オーナー向け情報提供サービスである「オーナーズポータル」、斡旋業者向けの情報提供サービスである「斡旋業者WEB」、業者受発注・進捗管理サービスの「建物管理WEB」、地域情報・生活情報付帯商品の「入居者ポータル」などを利用することができます。

 

④情報提供サービスでは、定期研修およびオペレーションフィールドカウンセラー訪問、最新のコンプライアンス情報や各種ランキング情報など、オーナー専用サイトの「フランチャイズポータル」で確認することができます。このほか、地域ごとの統計情報や他店の成功体験談など経営者として把握しておきたい情報なども配信しています。

 

⑤その他ネットワークサービスでは、不動産売買フランチャイズなどオーナー向けの不動産売買に関するサービスや、賃貸管理物件確保を目的として建築フランチャイズに関するサービスの提供を受けることができるとしています。

 

アパマンショップのフランチャイズに加盟を検討している人は、ウェブサイトの「アパマンショップFCご加盟のご案内」から資料請求や問い合わせをすることができます。チェックしてみましょう。

 

 

 

2-4 センチュリー21ジャパンのフランチャイズ戦略

人気俳優ケイン・コスギさんを使用したCMでもおなじみのセンチュリー21(トゥウェンティワン)は、米国で本社を構える世界的な不動産仲介企業です。

 

同社は直営店を持たないのが特徴で、全店がフランチャイズ加盟店となります。1983年に日本支部を立ち上げて以降、2001年にジャスダック上場を果たします。現在では全国で921店舗の加盟店を展開しています(2017年3月時点)。

 

同社の加盟店に応募には条件があり、対象者は、①宅地建物取引業の実務経験者、②宅地建物取引業免許取得済み店舗に限られています。ただ、新規開業による加盟も受け付けています。加盟時には加盟審査を受ける必要があり、通れば本部には契約締結の運びとなります。その後、エリア担当者とオープンに向けたオリエンテーションが実施されます。契約期間は5年、5年ごとに契約更新をしています。

 

同社が運営している不動産統合サイトは、国内随一のアクセス数を誇り、ホームページによる集客効果がのぞめるとしています。オーナーに対しては当サイトを通して送客を行い加盟店舗の収益向上などの役割を果たします。

 

このほか、独自の営業支援ITツールを開発しており、パソコンやタブレット向けの接客ツールでは、物件情報のほか、最寄りのスーパー、学校、病院、公園など距離を測ることが可能です。

 

また加盟店舗同士をつなげるツールでは、自社が契約した専任物件でもほかの加盟店の協力を得ることで広く買主を探すことができるとしています。

 

なお、ITツールの使用方法がわからないときは、本部の専門スタッフに相談することも可能です。IT研修やITコンサルティングなども行っているので、ITに疎い人でも使いこなすことができる支援体制が整っているとしています。

 

同社の研修メニューでは基本的なものから専門的なものまで20種類以上のプログラムが用意されています。3泊4日の泊まり込みで行われる研修では、新規加盟のオーナーが対象となり、本部システムサービスの利用方法や部下の育成方法などに至るまで、管理者としてひととりの基本知識・技術を身につけることができます。

 

このほか、接客に関する研修では接客技術を競わせるコンペを開催するなど、現場における接客技術の向上を目的としたプログラムが用意されています。

 

また、加盟オーナーの士気を高める各種表彰制度も充実。世界各国の成績優秀者が集う国際コンベンションなどは国際的に展開している同社の大きな魅力のひとつと言えそうです(参照:センチュリー21ホームページ情報より)。

 

 

 

2-5 エイブルのフランチャイズ戦略

設立から50周年を迎えた仲介大手のエイブル。1968年に大阪でアパートやマンションの賃貸仲介業を始めました。現在の社名になったのは1992年で、コーポレートブランドを見直し、「エイブル」グループに改めました。以降、事業を順調に拡大させ、2010年に持ち株会社であるエイブルCHINTAIホールティングスを立ち上げました(現エイブル・アンド・パートナーズ)。

 

同社によると、賃貸ビジネスの現状は持ち家志向から賃貸志向へと変化しており、団塊世代の子ども達がマーケットの主役となり、新たな住み替え需要が高まっているとされます。

 

同社は現在、直営店420店舗、フランチャイズ店370店舗、海外15店舗(2017年6月時点)を展開しています。独自のネットワークを構築し、さらなる店舗拡大に取り組んでいます。

 

同社に加盟すると、本部による実施指導やセミナー、勉強会の実施、独自の加盟店ネットワークシステム、賃貸サイトへの掲載などのサービスを受けることができます。このほか、インターネットへの広告掲載や、チラシ広告の作成、入出金管理、物件データ登録などの支援サービスも充実しています。

 

加盟対象者は、不動産業を展開しているか・していないかに関わらず、経営拡大に意欲のある人を募集しています。

 

加盟するまでの流れは、出店候補地の確認をしてから申し込み、加盟審査を通ると契約締結となります。また開店前の研修として「経営者研修」「店長・幹部研修」「スタッフ研修」、開店後には「業務指導」「運営指導」「営業指導」「新入社員定期研修」「中堅社員定期研修」「店長・幹部社員研修」「直営店受入研修」などが用意されています(参照:エイブルホームページ情報より)

 

 

 

2-6 スターツコーポレーションのフランチャイズ戦略

スターツコーポレーションは賃貸仲介サイト「ピタットハウス」などの不動産事業ほか、建設・金融・コンサルティングなどさまざまな事業を展開しています。

 

同サイトを運営するピタットハウスネットワーク株式会社は2000年に設立。フランチャイズ事業ほか、加盟店スタッフ向けの研修の計画立案および実施、ホームページの企画制作なども手掛けます。

 

同社は社員の定着率のアップ、生産性の向上のため人材育成を重視するとしています。そのために、TOPと呼ばれるスーパーバイザーによる定期訪問やEATと呼ばれる実践形式の研修を実施しています。

 

TOP(トレイナー・オブ・ピタットハウスショップ)では、実務経験者であるスーパーバイザーが加盟店を月1回訪問。オーナーと2人3脚で店舗運営に取り組むべく、店舗スタッフともコミュニケーションを図り、経営をサポートします。

 

EAT(エデュケーション・アンド・トレイニング)では、研修プログラムを細分化し、オーナーの経験値に合わせて段階的な研修を受講することができます。管理職ならニューリーダー研修、中堅なら店長研修、OJT研修、実務研修(空室研修、接客スキルアップ研修、成約率アップ研修、委任獲得販売研修など)、若手なら業務基礎研修、ピタットハウスアカデミー研修などが用意されています。このほか、共通研修として、コンプライアンス研修、宅建講座、システム活用研修、接客コンテストなどがあります。

 

また、同社では覆面調査員が店舗を訪問し、店舗状況な接客内容について調査を行うミステリーショッパー制度を導入しています。調査結果は各店舗に届けられ、必要があれば指導や研修を受けることになりますが、サービスレベルの向上につながっています。

 

知見と見識を広げるため昨年より海外視察も積極的に行っています。現地法人の講演を交えた研修を行うことで、外国の不動産ビジネスをじかに体験することができるとしています。

 

このほか、同社は高齢者向けの施設・住宅紹介サービスのフランチャイズ展開を昨年10月より開始しています。少子高齢化が深刻化するなかで、今後の国内不動産ビジネスについて、

 

「加盟店様には首都圏を中心に業務提携済みの約2000件の施設・住宅情報の共有や、サードライフのホームページを使った集客・施設情報の一元化、高齢者ビジネスに必要となる法規則や金融商品、介護・医療についての知識習得を目的としたサードライフアドバイザーの研修実施など、さまざまなメニューを提供している。加盟店様は事業開始にさいし特別な免許や届け出は不要なため、新たなサービスが開始できる環境を提供する」(同社ニュースリリースより)

 

と述べました。また、2009年から高齢者向けの住宅紹介サービスも開始。今後はフランチャイズ事業化することで、さらなるサービスの普及と向上に取り組むとしました。

 

 

 

2-7 東建コーポレーションのフランチャイズ戦略

1974年に創業された東建コーポレーションが運営するのが賃貸仲介事業の「ホームメイト」です。同社は2003年に東証一部上場を果たすと、2012年からネット広告事業へ本格的な参入を始めました。

 

同社は独自の不動産ネットワークを構築し、フランチャイズ事業を展開しています。さまざまなメディアで広告展開しており同社の知名度は抜群です。同社の全国不動産仲介ネットワークには、1万店舗以上が加盟(2018年1月時点)。この巨大な不動産ネットワークを最大限に活用し、「ホームメイト」サイトへの物件情報掲載をはじめ、「集客力」、「業務効率」、「お客様満足度」の向上を図り、不動産会社様の経営を支援するとしています。また近年はスマートフォン、タブレットなどの若い世代のニーズに応えています。

 

同社のフランチャイズに加入すると、独自の業務支援システムやシステム専用のサポートデスク、多様なコンテンツ、販促グッズ・データなどを利用することができます。

 

オーナー専用のホームページでは、物件の登録や編集・管理などのほか、不動産業務に必要なノウハウ・マニュアルなどを閲覧できます。また基本的な業界知識や一般教養なども社員教育に役立つ情報を身につけることができます。

 

このほか、会員特典サービスとして、国内外に設けられた5つのリゾート施設やゴルフ場などを利用することもできます。

 

 

 

2-8 ミニミニのフランチャイズ戦略

1977年に設立されたミニミニは、現在、直営店240店舗、フランチャイズ加盟店241店舗を展開しています(2017年10月時点)。その知名度と企業イメージを武器に加盟オーナーの不動産事業をバックアップできるとしています。また強力なネットワークを築くべく、フランチャイズ加盟店500店舗を目指

しています。

 

同社のフランチャイズシステムに加盟できるのは、現在、宅地建物取引業を営む法人に限られます。契約期間は2年、加盟金および加盟保証金などは出店地域ごとで異なるため、明らかにしていないですが、フランチャイズ加盟店専用のシステム設定費用は9万円となります。

 

また、研修ではグランドオープン前に「営業知識」「家主管理」「店舗管理方法」「FC店専用システム操作方法」に関する指導を受けることができます。

 

なお、加盟するさいはオーナー審査があります。店舗の立地や法人としてのこれまでの活動実績が審査対象となりますが、問題なく通ると契約締結となります。

 

オープン後は本部スタッフによる定期的な巡回があります。店舗状況の調査や経営相談ほか、業界の最新情報の提供を受けることができます。このほか、直営店が主催する社員研修に参加することも可能です(ミニミニホームページより)。

 

 

 

2-9 LIXILイーアールエー・ジャパンのフランチャイズ戦略

日本初の不動産フランチャイズを始めたのがLIXILイーアールエー・ジャパンです。アメリカ生まれの同社は、世界32カ国をつなげる独自のネットワークを構築して不動産事業を展開しています。

 

同社のフランチャイズは最先端のIT支援システムによって運用されています。不動産事業に特化した豊富な機能(物件・顧客管理、反響獲得支援、ポータルサイト連動等)を取り揃え、独自のクラウドネットワークに収集されたデータがフィードバックされるようになっています。こうすることで多くの潜在顧客、潜在需要を掘り起こし、リピーターとして定着させることができるとしています。

 

人材育成では、接客技術や基本的な不動産知識はインターネットでいつでも身につけることができます。賃貸業務では物件受託から賃貸管理と実践的な内容を学ぶことができます。

 

このほか、加盟オーナー向けの賃貸業務支援サービスとして、①賃料や弁護士費用などを保証する賃貸滞納保証、②火災や死亡事故等などで賃貸住宅が損害を受けたケースを想定した災害補償、③退去時の原状回復負担を保証する原状回復費用保証の3つの保証があるとしています(LIXILイーアールエー・ジャパンホームページより)。

 

 

 

2-10 大東建託のフランチャイズ戦略

1974年に設立された大東建託(旧大東産業)が運営しているのが不動産仲介サイトの「いい部屋ネット」です。大東建託は、同社本支店と仲介専門店舗数の合計となります。

 

 

 

2-11 レオパレス21のフランチャイズ戦略

1973年に不動産仲介業務を主として設立されたのがレオパレス21(旧株式会社ミヤマ)です。昭和60年には都市型アパートとしてレオパレス21の本格的な展開が始まりました。1998年には管理戸数が10万戸を突破。その後も順調に会社規模を拡大していき、2013年にはタイに現地法人を設立するなど海外進出も積極的に行っています。

 

同社は2010年に新時代の戦略としてフランチャイズシステム「レオパレス・パートナーズ」の運営を開始。従来のフランチャイズよりも、本部・加盟オーナー・利用者が深い信頼関係を構築できるとしています。特にオーナーにとっては同社の認知度とブランド力、そして独自のネットワークを共有することで、安定した収益構造を実現しています。

 

 

3 注目される空き家ビジネス

人口減少により空き室が目立ち始めたマンションやアパート。また、身寄りのない独身高齢者の戸建ての空き家も増加しています。野村総合研究所の調査によると、2023年の空き家数は2167万戸に達し、空き家率は3割を超えるとの見通しです。

 

・ 空き家数と空き家率の推移

  空き家数 総住宅数 空き家率
1988年 394万戸 4201万戸 9.4%
1993年 448万戸 4588万戸 9.8%
1998年 576万戸 5025万戸 11.5%
2003年 659万戸 5389万戸 12.2%
2008年 757万戸 5759万戸 13.1%
2013年 820万戸 6063万戸 13.5%
2018年 1078万戸 6367万戸 16.9%
2023年 1404万戸 6646万戸 21.1%
2028年 1773万戸 6900万戸 25.7%
2033年 2167万戸 7126万戸 30.4%

(参照:野村総合研究所「2030 年の住宅市場」)

 

 

3-1 最も多い「空き家」は「賃貸用・売却用」

空き家の内訳を見ると、最も多いのが「賃貸用・売却用」の物件で、2033年には1270万戸に達するとの見通しです。このほか利活用の目処がたっていない「その他住宅」の空き家は790万戸と予測されています。調査を行った野村は「除却・減築が進まないことによって、『その他の住宅』が引き続き増加するとともに、世帯数の減少によって『賃貸用・売却用の住宅』が増加すると考えられる」と分析しています。

 

 

 

3-2 空き家にしておく理由「物置として必要」

空き家となった原因について、総務省が調査したところ、半数以上は「相続」が占めます。また所有者の4分の1は遠隔地に住んでいることがわかりました。空き家にしておく理由として最も多かったのは「物置として必要だから」で44.9%でした。

 

次いで「解体費用をかけたくないから」(39.9%)、「特に困っていないから」(37.7%)、「将来、自分や親族が使うかもしれないから」(36.4%)、「好きなときに利用や処分ができなくなるから」(33.0%)、「仏壇など捨てられないものがあるから」(32.8%)、「さら地にしても使い道がないから」(31.9%)、「取り壊すと固定資産税が高くなるから」(25.8%)、「古い、狭いなど住宅の質が低いから」(23.4%)、「リフォーム費用をかけたくないから」(20.6%)、「他人に貸すことに不安があるから」(20.6%)、「労力や手間をかけたくないから」(16.7%)、「満足できる価格で売れそうにないから」(13.4%)、「道路付けや交通の便が悪いから」(10.2%)、「資産として保有しておきたいから」(10.%)、「満足できる家賃が取れそうにないから」(7.4%)、「戸建てを借りる人が少ないから」(5.6%)、「中古戸建てを買う人が少ないから」(3.9%)と続きました。

 

 

 

3-3 空き家ビジネス、空きスペースビジネスの市場規模

空き家になった理由は「住む人がいなくなった」「または家賃を下げても人が来ない」などさまざまです。そこで古くなった木造アパートをリノベーションしてシェアオフィスにしたり、デイサービスの拠点にしたりといった事例が増えています。

 

そこで、空き家ビジネスと同時に注目されているのが空きスペースビジネスです。特に空き家ビジネスを利活用した新たなフランチャイズ事業の誕生に期待が寄せられています。

 

リフォーム産業新聞社によれば、空き家の潜在市場は9兆601億円とされます。
なかでも最も大きいのが「中古住宅の流通(売却)」で、6兆4069億円と推計されました。ついで、「リフォーム」(1兆727億円)、「建替え」(9284億円)、「解体・撤去」(4150億円)、「賃貸」(2208億円)、「管理委託」(163億円)と続きました。

 

 

 

3-4 空き家管理サービスも需要あり?

空き家を所有していることで困っていることとして、「清掃しないことによる建物の劣化」が37.7%と最も多くなりました。次いで「湿気、カビの発生による建物の内の劣化」(35.9%)、「庭木や芝の繁茂」(34.7%)といった回答が続きました。また、空き家の形態別にみると「売却用の空き家」と「長期不在等のその他の空き家」では、「空き家にすることにより近隣宅へ迷惑を掛けること」が挙げられました。

 

特に隣家との距離が近い都内では、空き家放置は隣人トラブルに発展しかねません。そこで注目されているのが空き家を人が利用できる状態で適切に管理する「管理ビジネス」です。

 

同調査によると、空き家をキレイな状態で維持管理するサービスがあれば利用してみたい(「利用したい」+「まあ利用してもよい」)とする割合が33.9%あることがわかりました。

 

サービス内容では、「有事後の巡回(被害状況の確認)」が最も多く43.8%(「利用したい」10.4%+「まあ利用してもよい」33.4%)でした。次いで、「売却相談」43.0%(「利用したい」12.9%+「まあ利用してもよい」30.1%)、「破損箇所の修理」41.9%(「利用したい」11.1%+「まあ利用してもよい」30.8%)、「ハウスクリーニング(再入居時など)」41.8%(「利用したい」11.7%+「まあ利用してもよい」30.1%)、「庭の除草、植木剪定」40.9%(「利用したい」14.1%+「まあ利用してもよい」26.8%)、「雨漏りのチェック」40.7%(「利用したい」9.9%+「まあ利用してもよい」30.8%)などが上位に入りました。

 

続いて、「通風・換気」39.0%(「利用したい」8.3%+「まあ利用してもよい」30.7%)、「外部チェック(塗装・外壁・腐食など)」38.5%(「利用したい」9.5%+「まあ利用してもよい」29.0%)、「簡易清掃(建物内部)」(「利用したい」10.5%+「まあ利用してもよい」27.1%)、「賃貸相談」33.6%(「利用したい」8.9%+「まあ利用してもよい」25.7%)、「庭木の状態確認」35.2%(「利用したい」11.3%+「まあ利用してもよい」23.9%)、「通水」34%(「利用したい」7.5%+「まあ利用してもよい」26.5%)、「害虫駆除」33.7(「利用したい」9.0%+「まあ利用してもよい」24.7%)、「不法投棄などのゴミ処分(廃棄物処分)」34.8%(「利用したい」10.4%+「まあ利用してもよい」24.4%)、「リフォーム」36.3%(「利用したい」10.4%+「まあ利用してもよい」25.9%)、「ホームセキュリティ」31%(「利用したい」8.4%+「まあ利用してもよい」22.6%)、「郵便ポスト郵便物転送」30.4%(「利用したい」8.7%+「まあ利用してもよい」21.7%)となりました。

 

少なかった回答としては「郵便ポスト内の整理」29.2%(「利用したい」8.7%+「まあ利用してもよい」20.5%)、「遺品整理」23.4%(「利用したい」6.6%+「まあ利用してもよい」16.8%)、「近隣へのご挨拶訪問(連絡事項確認)」24.5%(「利用したい」6.5%+「まあ利用してもよい」18.0%)などがありました。

 

国交相は空き家ビジネスが抱える課題として①消費者に対する情報提供不足、②空き家管理サービスの認知度向上、③契約書に記載された内容が不十分を挙げました。

 

①消費者に対する情報提供不足

「空き家管理サービスが市場に浸透していない理由の一つとして、空き家所有者が空き家管理の必要性を感じていないことが挙げられる。空き家管理サービス事業者は空き家を放置することのリスクとその根拠などを正しく理解し、消費者に提供することが必要」

 

②空き家管理サービスの認知度向上

「インターネットアンケートの結果から、空き家管理サービスの認知度は空き家所有者に対しても低いことがわかった。(今後)本ビジネスの普及には空き家所有者を中心にサービスの告知を行い、認知度を向上させることが必要」

 

③契約書に記載された内容が不十分

「空き家管理サービスモニターを通じ、契約の実態について調査したところ、損害賠償やクーリング・オフの条項など、契約書の記載内容に不足している事項があることが判明した。今後、消費者が安心してサービスを依頼できる環境を整備することが必要」
(国土交通省「空き家ビジネス推進協議会」)

 

 

4 不動産フランチャイズを選ぶときの注意点

少子高齢化が深刻化するなか、順調に店舗数を伸ばしている不動産フランチャイズ。加盟できるのは、特定の資格を持っているか法人であるかなどの制限もあります。では、加盟する場合にどのような点に気をつければよいのでしょうか。

 

 

 

4-1 「資料請求する」「加盟説明会での話をよく聞く」ことが大切

不動産フランチャイズの場合、他のFC本部と異なるのは、加盟金やロイヤリティに関する情報を非公開としている点です。

 

ロイヤリティとは「チェーン本部の持っている商標・システムやノウハウ 、貸与設備、広告等の継続的使用に対する対価および経営指導を受けるための費用として、加盟店が開店後に継続的にチェーン本部に支払うもの」です(中小企業庁より)。

 

たとえばコンビニフランチャイズでは、加盟するさいに必要となる費用や売上金額ごとのロイヤリティ率などが詳細に公開されているのが一般的です。しかし、不動産FCでこれらに関する情報を公開している会社はあまり見当たりません。個別に資料請求をするか、説明会に参加するまでその内容は分からない仕組みとなっています。

 

加盟費用や契約内容を把握していない段階でいきなり契約するのは賢い方法でありません。まずは、資料請求をするか、その後に説明会に参加して、情報収集をするように努めましょう。フランチャイズ説明会は本部スタッフとじかに触れ合う貴重な機会です。加盟する企業が何を目指しているのか、加盟することでどのような事業展開が期待できるのかなど気になった事項は積極的に質問しましょう。

 

 

 

4-2 契約時には万全の準備を持ってのぞむ

事業にはリスクがつきものです。大手の不動産フランチャイズに加盟したからといって成功が約束されたわけではありません。いざオープンしても売上が予測の半分にも届かないといったことはよくあります。ですから加盟前には、現実的な売上予測・経費予測を立てなければなりません。既存加盟店から話を聞くなどして念入りに情報収集することが大切です。

 

このほか、加盟後にトラブルになりやすいケースとして、「開店できなかったのに加盟金が返還されない」「思ったよりロイヤルティが高かった」「売上げが落ちて赤字になった月に本部から知らないうちに貸付をされていた」「自店の商圏内に同じチェーンの店舗が開店した」「経営がうまくいかないので解約を申し出たら、解約違約金を請求された」といった相談が中小企業庁に寄せられています(参照:中小企業庁「フランチャイズ事業をはじめるに当たって」)。

 

このようなトラブルに巻き込まれないようにするため、契約書の内容は面倒でも全て把握するように努めましょう。特に悪質な事業者の場合、契約書であると申告していない書類に住所・氏名を記載させ、のちに違約金を請求してくるケースもあります。自分が署名捺印するのはどのような内容の書類なのかもきちんと確認することが大切です。

 

 

 

4-3 フランチャイズを規制する法律を知る

フランチャイズ契約について、その内容を規制する中小小売商業振興法という法律があります。同法によれば、フランチャイズとは「連鎖化事業であって、当該連鎖化事業にかかる約款に、加盟者に特定の商標、商号その他の表示を使用させる旨および加盟者から加盟にさいし加盟金、保証金その他の金銭を徴収する旨の定めがあるもの」と定義されています。また、同法の施行規則では、契約締結前のフランチャイズ本部に対して、22の情報開示事項を定めています。

 

ただし、同法が適用されるのは、小売業・外食業のチェーン事業に限られるため、不動産仲介などのサービス業は対象外となります。

 

このほか、フランチャイズシステムには独占禁止法の適用もあります。独禁法上、フランチャイズは、本部と加盟者との間のフランチャイズ契約であり、①加盟者が本部の商標、商号等を使用し営業することの許諾に関するもの、②営業に対する第三者の統一的イメージを確保し、加盟者の営業を維持するための加盟者の統制、指導等に関するもの、③上記に関連した対価の支払に関するもの、④フランチャイズ契約の終了に関するものの特徴を捉えた事業形態であるとしています。

 

同法は、本来、対等である本部と加盟オーナーの間には上下関係が発生しやすいとして、締結後の本部と加盟者との取引について「優越的地位の濫用(取引先制限、仕入れ数量制限など)」「抱き合わせ販売等・拘束条件付取引」「販売価格の制限」に関する行為を禁じています。

 

 


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