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若者を都会から地方へ〜進むUJIターン政策〜

地方創生の名のもと、現在国内ではさまざまな地域活性化政策がとられています。なかでも労働生産性を維持するため、政府や地方自治体が一丸となって若者を地方に呼び戻そうとUIJターンの促進・支援の動きが活発です。地方自治体も子育て支援や就労支援などで若者を定住させようと取り組みに積極的です。

 

都会で育った人間なら誰もが一度は憧れる田舎暮らし。農林水産省によれば、近年は地方・田舎の魅力を再発見しようとの機運が高く、都市から移住する若者や団塊世代が増加傾向にあるとします。農水省はこのような傾向を踏まえ、地方での就業機会の確保や定住を用意にするための環境を整備することが急務であると主張します。

 

都会から若者や労働世代を呼び戻すことで、都心一極集中の現状を改善することができるのでしょうか。

 

 

目次

  1. 1 大都市と地方における雇用機会の現状
  2. 1-1 大企業のほとんどは東京に集中
  3. 1-2 大都市に偏る管理職・事務職
  4. 2 UJIターンのニーズを知る
  5. 2-1 地元に戻って仕事をしたい人の割合、45%
  6. 2-2 実際にUJIターンを経験した人の割合、6.5%
  7. 3 農山漁村に若者を呼び戻す!
  8. 3-1 農山漁村活性化プロジェクト
  9. 3-2 定住促進に向けた岩手県と群馬県の取り組み

 

1 大都市と地方における雇用機会の現状

若者が地域に移住・定着するには、就業機会の少なさが大きな障壁だと言われています。

 

 

1-1 大企業のほとんどは東京に集中

独立行政法人の労働政策研究・研修機構によれば、大企業本社の3割超が東京に集中し、オフィスワークも東京ほか神奈川、埼玉、千葉の1都3県や、大阪、奈良、兵庫に偏在していると指摘します。

 

・ 都道府県別にみる大企業の本社数

順位 都道府県 割合
1 東京都 34.5%
2 大阪府 9.1%
3 愛知県 6.5%
4 神奈川県 5.3%
5 その他 44.6%

 

 

1-2 大都市に偏る管理職・事務職

また、地域別に占める管理職・事務職の割合を見ると、就業者の多くが大都市圏に集中し、26%以上となっているのは東京都のみです。このほか、24−26%が2県、22−24%が1府4県、20−22%が1道1府10県で、18%以下は青森県のみとなります。

 

・ 都道府県別にみる就業者に占める管理職・事務職の割合

順位 都道府県 割合
1 東京 26%以上
2 神奈川 24-26%
  千葉 24-26%
4 埼玉 22-24%
  大阪 22-24%
  奈良 22-24%
  兵庫 22-24%
8 その他 22%以下

 

管理職・事務職

(参照:独立行政法人労働政策研究・研修機構「地域雇用の現状と課題」)

 

 

2 UJIターンのニーズを知る

各地方自治体が積極的に呼び込んでいるUターン者、Jターン者、Iターン者は次のように定義されます。

 

・UJIターン者の意味

Uターン者 地方圏出身で、中学卒業以降に県外での居住経験を持つが、現在は中学卒業時と同じ県に居住する者
Jターン者 地方圏出身で、現在居住する地域が中学卒業時の居住県と異なる者
Iターン者 首都圏・近畿圏出身で、現在は地方圏(東京圏・近畿圏・中京圏の三大都市圏以外の県)に居住する者

 

 

2-1 地元に戻って仕事をしたい人の割合、45%

地方出身の主審県外移住者に「地元に戻って働きたいか」のアンケート調査を行ったところ、45%が出身市町村へのUターンを希望していることがわかりました。

 

調査では「戻りたい」が14.5%、「やや戻りたい」が30.6%で、計45.1%が潜在的Uターン希望となりました。
一方、「戻りたくない」が23.6%、「あまり戻りたくない」が31.2%で54.8%と半数以上が、Uターンを希望していないことがわかります。

 

グラフ

(参照:独立行政法人労働政策研究・研修機構「地域雇用の現状と課題」)

 

このほか、「Uターンするために希望する行政支援は何か」の調査では、「希望者への仕事情報の提供」が25.2%で最も多く、次いで「転居費用の支援」19.6%、「無料職業紹介」16.4%、「公営住宅、定住住宅、家賃補助など」15.8%とつづきました。

 

希望する行政支援 回答者割合
希望者への仕事情報の提供 25.2%
転居費用の支援 19.6%
無料職業紹介 16.4%
公営住宅、定住住宅、家賃補助等 15.8%
子育て支援 12.6%
空き家・空き地情報の提供 11.1%
自治体の相談窓口 11.0%
宅地分譲・住宅建築への助成 9.3%
起業支援 7.1%
移住体験 6.8%
農林漁業への就業支援 5.5%
その他 0.4%
支援の希望は特にない 51.6%

 

 

2-2 実際にUJIターンを経験した人の割合、6.5%

中小企業庁が、実際にUIJターン転職を経験した人の割合を調査したところ、転職経験者は全体の44.8%と半数をしめましたが、そのうちUIJターンによる転職はわずか6.5%にとどまりました。

 

また、UIJターンを経験した転職者の類型では、「中小企業から中小企業へのUIJ転職」が最も多く41.5%で、次いで「大企業から中小企業へのUIJ転職」33.6%、「大企業から大企業へのUIJ転職」が15.4%、「中小企業から大企業へのUIJ転職」が9.5%となりました。

 

経験者

(参照:中小企業庁「平成27年度版 中小企業白書」)

 

UIJターンについて中小企業庁は、

 

「UIJターンには、家族を含めた周囲の協力や移住に伴う衣食住を含む生活環境の変化に対応するための負担、また、精神的負荷等の多くの課題が存在すると考えられる」

 

と述べ、都市部から地方に移り住むことの難しさを強調しました。また、今後の課題については、

 

「都市部で経験を積んだ人材は、地方の企業の人材不足を補い、ひいては、地域の活性化につながるポテンシャルを秘めており、こうした動きを推進していくためにも、政府として地方への移住を伴う転職に関する情報を組織的に提供する場を整え、さらに、自治体と連携した衣食住までサポートしたトータル・ケアともいうべき取組が必要」

 

と述べました。

 

近年話題となりつつも、わずか6%しか経験したことのないUJIターン。今後も各地方自治体には、UJIターンの情報発信などの積極的な周知活動が必要とされます。

 

 

3 農山漁村に若者を呼び戻す!

若者の間で農業や農村への関心が高まるなか、政府は、2008年より地域おこし協力隊(旧:田舎で働き隊)事業の推進など、若者・団塊世代を呼び戻す環境整備に取り組んでいます。

 

 

3-1 農山漁村活性化プロジェクト

都市住民が農山漁村地域で定住するには、「定住するための仕事がない」「都市住民を受け入れるサポート体制が整備されていない」といった問題があります。

 

問題点 回答者割合
都市住民が定住するための仕事がない 54.0%
都市住民を受け入れるサポート体制が整備されていない 30.9%
買い物、娯楽などの生活施設が少ない 26.5%
医療機関が少ない 22.8%
地域住民が都市住民の受入れに消極的 22.5%
地域内での移動のための交通手段が不便 22.3%
近所に干渉されプライバシーが保てないと都市住民が思う 14.7%
地域の調和が崩れる 12.8%

(農林水産省配布資料を基に作成)

 

そこで農水省では、平成19年より、農林漁業の振興を図るための生産基盤や施設の整備に関する事業のため、農山漁村活性化プロジェクト支援交付金を設け、定住等の促進を図っています。

 

 

3-2 定住促進に向けた岩手県と群馬県の取り組み

たとえば岩手県奥州市では、若者の定住促進のため空き家を有効に活用しています。2007より市外からの移住希望者に対して「空き家バンク」を設置し、首都圏に住む団塊世代を始めとした田舎暮らし向きの空き家を紹介しています。

 

また、群馬県上野村では、UJIターンを積極的に行っています。就業所得の場及び雇用の場の安定的な確保策として、きのこセンターなど村が自ら直営で工場を運営し、現在では、人口の1割を占める160人程度が定住している状況です。

 

(参照:農林水産省「UJIターン促進のための取組」)

 

地方が衰退するなか、新しいサービスや体験を望む若者を定着させることは容易ではありません。しかし地方におけるICTの利活用の取り組みが始まった今、都会で就職できなかった若者を地方に呼び込む形作りも始まりました。

 

※ 地域おこし協力隊は、総務省管轄の事業で、人口減少や高齢化等の進行が著しい地域において、地域外の人材を積極的に誘致し、その定住・定着を図る取り組みのこと。

 

 


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