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国交相、格安航空LCC要望により欠航条件に「乗客が少ないため」を新たに追加か

(出展: lcct.com.my)
(出展: lcct.com.my)

国土交通省は6月、格安航空各社から「乗客数が著しく足りない」場合に欠航できるよう規制緩和の要望を受けていたことに対し、検討会議に入ったことがNHK NEWS WEB(6月18日付)の記事で明らかになりました。

 

現在、欠航基準は明確に定められていないものの、通常、認められる要因は悪天候や機械トラブルといった場合が多く、これまで「乗客が少ないから」を理由に欠航が認められた例はありませんでした。

 

大手航空会社と比べて厳しい運営状態にあるLCC各社は、欠航基準を緩和してもらうことで、少数客飛行のコストカットに繋げたい考えです。ただ、欠航を簡単に認めてしまうと、利用客の利便性を損なう可能性もあり、国交相は慎重に議論を進めるとしています。

 

LCC普及で気軽に空の旅を満喫できるようになった現代ですが、「格安」の裏には経営者らによるギリギリの経営事情があるようです。

 

 

目次

  1. 1 航空業界の欠航基準とは
  2. 1-1 欠航・遅延が発生したときの大手航空会社の対応
  3. 1-2 欠航・遅延が発生したときの格安航空会社の対応
  4. 2 国交相、規制の見直しへ
  5. 2-1 欠航理由の拡大を要求
  6. 2-2 航空需要の拡大とパイロット不足
  7. 3 地方と地方を結ぶ航空路線の開通を!

 

1 航空業界の欠航基準とは

国内における運航は、航空法97条※の規定により、事前に航空管制に対して文書または口頭により飛行計画を連絡して承認を得なければなりません。

 

航空法97条 航空機は、計器飛行方式により、航空交通管制圏若しくは航空交通情報圏に係る空港等から出発し、又は航空交通管制区、航空交通管制圏若しくは航空交通情報圏を飛行しようとするときは、国土交通省令で定めるところにより国土交通大臣に飛行計画を通報し、その承認を受けなければならない。承認を受けた飛行計画を変更しようとするときも、同様とする。

 

また、欠航に関する基準は航空法では定められておらず、基本的に航空機は、通報したとおりに飛行しなければなりません。しかし、出発前の機長を中心とする打ち合わせで、機材の故障、台風や大雪など天候不良、その他出発地・到着地の特段の事情、などの事情があった場合には乗客の安全を優先しなければならないため、欠航が認められています。

 

※ 計器飛行方式による場合は、航空交通流管理の効果を確保するため、航空機が出発のために移動を開始する時刻の2時間前までに飛行計画を通報することが望ましく、少なくとも移動開始時刻の30分前までに通報することとされる。

 

 

1-1 欠航・遅延が発生したときの大手航空会社の対応

ANAやJALなどがやむを得ない事情により欠航となった場合、振替便やホテルの手配などの対策を講じるのが一般的です。

 

一方、ピーチ航空を始めとする格安航空各社は、こういったアフターサービスを無くすことで費用を抑えているため、基本的には振替便などの手配はせず、払い戻しのみを受け付けるケースが多いのが実情です。

 

・ 大手航空会社の対応比較

ANA(全日本空輸) 台風・降雪などの不可抗力により、予約便が遅延・欠航した(する)場合は、手数料なしでANA便への変更または払い戻しを受け付ける。機材故障など、ANAの事由により予約便が遅延・欠航した(する)場合も同じ。
さらに、他の定期公共交通機関へ振り替え時の運賃差額や、振り替えに際して発生した交通費・宿泊費の支払いにも対応。翌日の振替便に搭乗するための宿泊費も15000円を上限に支払うとしている。
JAL(日本航空) 機材故障などのJAL都合で運航に影響がある場合、変更に際し、諸費用(交通費・宿泊費)が発生した場合は、日本航空が定める範囲において支払うとしている。航空機以外の定期交通機関へ変更する場合は、当該区間の運賃を全額払い戻すと規定している
悪天候・自然災害などやむを得ない理由で運航に影響がある場合、変更に際し、諸費用(交通費・宿泊費)が発生した場合は、利用者負担となる。
米ユナイテッド航空 悪天候などの事態により、ユナイテッド航空の運航に影響が出ると予測される場合、ユナイテッドは、変更手数料無料で別のフライトに変更できる旅行免除規定を設けている。また2時間以上の遅延が原因でご旅行を中止する場合は、航空券購入時の支払方法で払い戻しを受けることができる。また、ユナイテッドの負担で近隣のホテルの手配にも対応している。

 

ANA振替

(▲ANAの振替システム 参照:全日本空輸株式会社)

 

・ 欠航、遅延発生時の格安航空会社各社の対応

ANA(全日本空輸) 台風・降雪などの不可抗力により、予約便が遅延・欠航した(する)場合は、手数料なしでANA便への変更または払い戻しを受け付ける。機材故障など、ANAの事由により予約便が遅延・欠航した(する)場合も同じ。
さらに、他の定期公共交通機関へ振り替え時の運賃差額や、振り替えに際して発生した交通費・宿泊費の支払いにも対応。翌日の振替便に搭乗するための宿泊費も15000円を上限に支払うとしている。
JAL(日本航空) 機材故障などのJAL都合で運航に影響がある場合、変更に際し、諸費用(交通費・宿泊費)が発生した場合は、日本航空が定める範囲において支払うとしている。航空機以外の定期交通機関へ変更する場合は、当該区間の運賃を全額払い戻すと規定している。
悪天候・自然災害などやむを得ない理由で運航に影響がある場合、変更に際し、諸費用(交通費・宿泊費)が発生した場合は、利用者負担となる。
米ユナイテッド航空 悪天候などの事態により、ユナイテッド航空の運航に影響が出ると予測される場合、ユナイテッドは、変更手数料無料で別のフライトに変更できる旅行免除規定を設けている。また2時間以上の遅延が原因でご旅行を中止する場合は、航空券購入時の支払方法で払い戻しを受けることができる。また、ユナイテッドの負担で近隣のホテルの手配にも対応している。

 

 

1-2 欠航・遅延が発生したときの格安航空会社の対応

次に、欠航や遅延が発生したときの格安航空会社の対応は次のようになります。

 

ピーチ航空 悪天候(台風や降雪)など不可抗力な理由での便の大幅遅延・欠航が発生する(した)場合は、変更手数料無料でピーチの他の便への振替(他社便不可)、払い戻しに対応している他社便への振替や代替交通手段の補償、並びに遅延、欠航に伴い発生した(する)宿泊費、交通費などの補償はない。
ジェットスター航空 悪天候および機材整備・航空機運用上の理由など航空会社側の原因であっても欠航の場合、ツアーの実施は原則として中止。この場合、①旅行代金は全額払い戻すか、②利用者負担で航空会社が用意する振替便を利用するかを選択する。ただし、航空会社側の原因による欠航の場合は、宿泊・食事が航空会社持ちとなる場合がある。
バニラエア航空 予約便が欠航した場合の変更・払い戻しについては、2週間以内の、空席のある同区間の弊社便に追加料金なしで搭乗可能。航空券に記載された搭乗日から30日以内にバニラエアホームページ内で手続き可能としている。

 

 

2 国交相、規制の見直しへ

国土交通省は、拡大するLCC市場を受けて、市場環境の変化等を踏まえた技術・安全規制の見直しを検討しています。

 

2-1 欠航理由の拡大を要求

今年6月に発表した欠航基準の規制緩和もその一環で、格安航空会社を対象に乗客が少ないとわかった段階で欠航とすることができるようにするための議論に入りました。

 

欠航理由の拡大は利用者の利便性を損なう側面があるものの、採算面で難しかった地方と地方を結ぶ路線の開設が可能になるほか、運賃の引き下げにもつながると、NHK NEWS WEBは伝えます。

 

 

2-2 航空需要の拡大とパイロット不足

格安航空LCCでは、機内サービスの省略や座席の増設など徹底したコストカットにより実現しています。一昔前、富裕層だけ利用できる高級な乗り物だった空の旅は、LCCの普及により庶民の足へと変貌しました。

 

しかし、拡大する航空需要に人員が追いついていないと経済界(2015年5月16日付)の記事で指摘されています。

 

「LCCの隆盛は世界中の航空需要を拡大させ、飛行機を庶民の足にした。その最大のウリである低運賃を実現させたのが、低コストの経営だ。しかし一方で、安全に関して言えばLCCもフルサービスのキャリアも違いはない。同じライセンスで、同じ安全基準が求められる」

 

また、最近問題となっている操縦士不足については、経営規模の小さいLCCでは大手航空会社のように自前の操縦士を育てることはできず、安い賃金での獲得も難しいとされています。

 

国交相は、若手操縦士の供給拡大に向け、航空会社における自社養成の促進、奨学金制度の創設等による私立大学等民間養成機関の供給能力の拡充に取り組むことを発表しています。

 

 

3 地方と地方を結ぶ航空路線の開通を!

LCC

 

国内の航空路は、過去に航空需要の衰退により、多くの地方路線が撤退しました。現在はLCCの台頭を理由に航空需要は拡大傾向にあります。

 

国際航空輸送協会(ATA)によれば、昨年の世界における航空旅客数は37億人に達し、前年比6.3%増と過去最高の伸びを記録したと発表しました。また、国内でも、観光庁推計で今年4月の訪日外国人観光客数が前年同月比23.9%増の257万9千人を記録し、単月として初めて250万人を超える快挙となりました。

 

今後は地方路線の開設後の航空需要の維持が重要になります。各地方自治体には再び航空需要を衰退させないよう、積極的に地元の魅力を発信しつづけるなどの努力が求められることになりそうです。

 

 


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