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世界幸福度ランキング、日本は前年より2ランクアップの51位

(出展:Steemkr)
(出展:Steemkr)

国連は3月20の世界幸福の日にあわせて、世界幸福報告書(WORLD HAPPINESS REPORT)を作成、同時に世界幸福度ランキングを発表しました。
世界155カ国のなかで最も幸せな国は、前回4位から3ランクアップしたノルウェーとなりました。日本は51位で前年より順位を2つあげましたが、G7(主要先進7カ国)では最下位となっていました。

 

上位は例年通りノルウェーをはじめ北欧諸国が独占。アジアトップはシンガポールの26位で、日本は東アジアのなかでは5位となりました。

 

こういった幸福度調査ではいまいち好成績を残すことができない日本。順位を下げている要因は一体何なのでしょうか。

 

 

目次

  1. 1 北欧諸国が幸福度調査で強い理由
  2. 1-1 石油産業危機だったノルウェー
  3. 1-2 上位国の特徴は政治的腐敗が少ない?
  4. 2 日本を含めたアジア諸国が幸せになるには
  5. 2-1 日本に必要なのは“寛容さ”?
  6. 2-2 25年以上幸せではない中国
  7. 3 ランキング下位を占めるのはアフリカ諸国
  8. 3-1 最下位となった中央アフリカ共和国
  9. 3-2 幸福度を上げるためには

 

1 北欧諸国が幸福度調査で強い理由

レポート

(出展:Maxine Clarmond)

 

幸福度ランキングは、国連の調査機関「持続可能な開発ソリューション・ネットワーク(SDSN)」によって2012年から調査が行われ、3月20日の世界幸福の日に合わせて毎年発表されています。
幸福度は、人生の自由度や健康寿命、政治における信頼度などの質問項目に対して0〜10のどの段階に位置するかの世論調査に基づいて作成されます。

 

・ 評価項目

GDP per capita 一人当たりGDP
Social Support 社会的支援
Healthy life expectancy 健康寿命
Freedom to make life choices 人生選択自由度
Generosity 寛容さ
Perceptions of corruption 腐敗認識度

 

今年で5回目となる調査で第1位に輝いたのはノルウェーで、前回より順位を3つあげました。
前回首位だったデンマークは、ノルウェーと0.015ポイントの僅差で敗れ2位となりました。このほか、上位常連国であるアイスランド、スイス、フィンランドなどは堅調に推移しました。

 

報告書によれば、上位4カ国のすべてが、社会的支援、人生自由度、寛大さ、誠実さ、健康寿命、収入、政治的透明性などの主要因すべてで高い数値を出しています。

 

・2017世界幸福度ランキング 上位15カ国

順位 国・地域 ポイント 前年順位
1 ノルウェー 7.537 4
2 デンマーク 7.522 1
3 アイスランド 7.504 3
4 スイス 7.494 2
5 フィンランド 7.469 5
6 オランダ 7.377 7
7 カナダ 7.316 6
8 ニュージーランド 7.314 8
9 オーストラリア 7.284 9
10 スウェーデン 7.284 10
11 イスラエル 7.213 13
12 コスタリカ 7.079 34
13 オーストリア 7.006 12
14 アメリカ 6.993 14
15 アイルランド 6.977 19

(参照:World Happiness Report 2017)

 

 

1-1 石油産業危機だったノルウェー

ノルウェーの主要産業は石油・ガス性産業で、世界でも有数の石油生産国(2016年度は第9位)として知られています。欧州諸国を中心に輸出しており、GDPの15%を占めます。ノルウェー大陸棚の未発見の石油・ガス資源は推定埋蔵量の43%とされており、長期的には、石油・天然ガス輸出に依存する経済構造からの脱却が課題となっています。(参照:外務省 ノルウェー基礎データ)

 

また国民一人当たりGDPは7万1500ドル(約796万円)と高く、生活水準は世界でもトップレベル。消費税も25%と高いですが、医療費・教育費は無料の高福祉国家となります。

 

北海油田※を有しますが、2014年から原油価格が下落※2し、昨年1月には石油産業の危機を宣言していました。

 

産業危機のなか首位を取ることができた理由には、ノルウェー政府が石油の生産スピードをおさえ、現在よりも未来への投資を優先した結果、経済の激しい好不況の波から脱することができたと分析されました。

 

上位国の平均値は僅差のため、毎年このような変化がランキングの順位に影響を与えていると報告書では述べられます。

 

※ イギリスとスカンディナビア半島南部に挟まれた海域である北海の海底に存在する油田、天然ガス田地帯のこと。イギリスが約半分、ノルウェーが約4分の1の主権地域を占める。イギリス領海では1969年のモントローズ油田の発見を皮切りに20以上の油田が発見され、75年に生産開始。1980年代には急速な増産をとげる。しかしノルウェーは新規油田開発を抑制する資源保護政策をとっており、天然ガスの開発に期待がかけられている。(参照:コトバンク「ブリタニカ国際大百科事典」より)
※ 原油価格下落の影響から、2015年9月には政策金利を0.75%、2016年3月には史上最低の0.50%まで引き下げられた。

 

 

1-2 上位国の特徴は政治的腐敗が少ない?

上位10カ国の他の国々も、6つの指標において毎年好成績を残しています。
一人あたりの収入や、健康寿命、精神的余裕、寛大さ、さらに企業や政府による腐敗が少ないことがランキングに大いに反映されています。

 

また、非北欧諸国としてオランダ(6位)、カナダ(7位)、ニュージーランド(8位)、オーストラリア(9位)はほぼ毎年トップ10入りしています。

 

このほか、コスタリカは前年34位から大きく順位をあげて12位となり、ラテンアメリカ内ではトップとなりました。

 

一方、アメリカは前年17位から11位と順位を落としました。2007年にOECD諸国の3位に入りましたが、2016年には19位となりました。その要因は社会的支援の低下と政治的・社会的腐敗の増加であると分析されました。

 

全体では60カ国が前年より幸福度をあげました。

 

 

2 日本を含めたアジア諸国が幸せになるには

日本は昨年より順位を2つあげて51位でした。また、アジアの中では、シンガポール、タイ、マレーシアに続いて4番目となります。

 

・2017世界幸福度ランキング 東アジア抜粋15カ国

順位 国・地域 ポイント 前年順位
26 シンガポール 6.572 22
32 タイ 6.424 33
42 マレーシア 6.084 47
51 日本 5.920 53
55 韓国 5.838 58
71 香港 5.472 75
72 フィリピン 5.430 82
79 中国 5.273 83
94 ベトナム 5.074 96
97 ブータン 5.011 84
99 ネパール 4.962 107
100 モンゴル 4.955 101

 

 

2-1 日本に必要なのは“寛容さ”?

日本は6つの評価項目において、一人あたりGDPや健康寿命で平均以上の数値を出していますが、下表をみると寛容さ(Generosity)と腐敗認識度(Perceptions of corruption)で上位国より大きく引き離されていることがわかります。

 

・ 「寛容さ」「腐敗認識度」における上位10カ国と日本の比較

国名 寛容さ 腐敗認知度
Norway 0.362 0.316
Denmark 0.355 0.401
Iceland 0.476 0.154
Switzerland 0.291 0.367
Finland 0.245 0.383
Netherlands 0.470 0.283
Canada 0.436 0.287
New Zealand 0.500 0.383
Sweden 0.385 0.384
Japan 0.121 0.164

 

たしかに日本社会は海外諸国と比べればモラルや規律の面で厳しすぎるとの指摘を受けることもありますが、幸福度調査における“寛容さ”は、「過去1ヶ月に慈善団体に寄付したか」を表した指標であり、社会的な寛容性や多様性の許容度などを表現したものではありません。

 

日本の寄付文化について言及したNHK解説委員室による記事(2015年12月24日付)では、

 

「寄付の総額を較べてみますと、アメリカは27兆円、イギリスも1兆8000億円、日本はアメリカの3%、イギリスの半分以下に留まっています」

 

と日本の寄付額の少なさが浮き彫りとなっています。

 

・米英と比較した日本の個人寄付総額

寄付

(出展:「寄付白書」2017)

 

・寄付ランキング

寄付ランキング

(出展:「寄付白書」2017)

 

日本の個人寄付総額は145カ国中102位で、他国と比べて寄付文化が浸透していないことが明らかとなります。
その理由としては

 

「『実際に役だっているとは思えない』と答えた人が35.4%ともっとも多く、『寄付先への不信感・信頼度が不足している』32.5%、『十分な情報がない』15.2%、『手続きがわかりにくい』9.4%などの順になっています」

 

といった意見が紹介されました。

 

一方、腐敗認識度は、「政府全体に腐敗が広がっているかどうか」と「企業内で腐敗が広がっているかどうか」の2つの質問の世論調査をもとに判断されます。

 

 

2-2 25年以上幸せではない中国

報告書によれば中国では、過去25年間で中国人1人当たりのGDPは5倍以上になりました。2012年までにほぼすべての都市部の家庭にカラーテレビ、エアコン、洗濯機、冷蔵庫などの家電製品が行き渡り、現在では10人中9人がパソコンなどを保有しています。

 

一方、農村部では家電などの生活必需品の普及は都市部よりやや遅れたものの1990年の田舎には存在しなかったこのような豊かさが、2012年までにはかなり一般的になり、人口の幸福感も倍増になったものだろうと考えられていました。

 

ところが、現在の中国の幸福度は、失業率の上昇や社会保障制度の疲弊によって、1990年よりも少ないと報告書は指摘します。

 

このほか、他の東アジアと幸福度ランキングの上位組を比較すると、経済成長が続くアジア諸国は1人当たりGDPは高いものの、「寛容さ」「腐敗認知度」「社会的自由度」などの項目で全体評価の足を引っ張っていることが明らかになりました。日本含めアジア諸国には、経済成長とともに精神的ゆとりや政治・企業の透明性が求められています。

 

 

3 ランキング下位を占めるのはアフリカ諸国

幸福度ランキングのワースト10は、中東のイエメンを除くとすべてをアフリカ諸国が占めました。

 

・2017世界幸福度ランキング ワースト10

順位 国・地域 ポイント 前年順位
146 イエメン 3.593 147
147 南スーダン 3.591 143
148 リベリア 3.533 150
149 ギニア 3.507 151
150 トーゴ 3.495 155
151 ルワンダ 3.471 152
152 シリア 3.462 156
153 タンザニア 3.349 149
154 ブルンジ 2.905 157
155 中央アフリカ共和国 2.693 -−

(▲赤字がアフリカ諸国)

 

 

3-1 最下位となった中央アフリカ共和国

日本のおよそ1.7倍の国土を持つ中央アフリカは、人口470万人でカトリック教やイスラム教を信仰する人が混在しています。

 

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(▲中央アフリカ共和国の位置)

 

外務省基礎データによれば、独立以来クーデターを繰り返してきた中央アフリカでは、政情は常に安定的とは言いがたく、イスラム系反政府勢力による襲撃が横行。2016年3月に憲法国民投票、大統領選挙、国民議会選挙が順次実施され、3月にトゥアデラ大統領が就任し、民政復帰が完了したばかりです。

 

主要産業は、農業(綿花,コーヒー,タバコ)、林業(木材)、鉱工業(ダイヤモンド,金など)となりますが、内陸国であるため,必然的な輸送コスト高という経済的不利に加え,度重なる政情不安の影響で,最近は経済の低迷が続いていており、歳入不足による公務員給与の未払い問題も度々発生しています。(参照:外務省 中央アフリカ共和国 基礎データ

 

幸福度ランキングでは、中央アフリカは「一人当たりGDP」「社会的支援」の項目においてともにゼロポイントで、「健康寿命」もほぼゼロに近い数値となりました。しかし、個人の寄付総額をあらわす「寛容さ」は0.281ポイントで、日本よりも高い数値となります。

 

国名 一人当たりGDP 社会的支援 健康寿命 寛容さ
Yemen 0.592 0.935 0.310 0.104
South Sudan 0.397 0.601 0.163 0.286
Liberia 0.119 0.872 0.230 0.267
Guinea 0.245 0.791 0.194 0.265
Togo 0.305 0.432 0.247 0.197
Rwanda 0.369 0.946 0.326 0.253
Syria 0.777 0.396 0.501 0.494
Tanzania 0.511 1.042 0.365 0.354
Burundi 0.092 0.630 0.152 0.204
Central African Republic 0.000 0.000 0.019 0.281

 

日本は2012年時点で中央アフリカの主要援助国として、フランス、アメリカに次いで第3位となりますが、2005年以降、日本からは大使館が設置されておらず、在カメルーン大使館が兼轄しています。

 

アフリカ

(出展: Chair of Information Architecture)

 

 

3-2 幸福度を上げるためには

もちろん一人一人の幸せは国連が示す指標によって決まるものではありませんが、報告書が述べている通り、社会的な幸せと個人的な幸せがあります。そして両者は深い相関関係にあり、どちらか一方が満たされればよいというわけでもありません。

 

幸福度ランキングの結果に一喜一憂するだけでなく、次の行動につなげることが求められているのではないでしょうか。

 

 


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