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ソニーが好調?じわじわ上がる株価

(出典:Muddy Hill)
(出典:Muddy Hill)

東芝の没落を尻目にソニーの株価が上昇しています。2月に発表した第3四半期決算(2016年10月〜12月)でゲーム事業とイメージセンサー事業が高く評価され、買い注文が集まった結果、3月31日の終値で3766円と年初以来の高値を記録しました。

 

もうじき4000円に届くのではないかとの見方も強まっており、強いソニーの復活が囁かれるようになりました。

 

 

 

目次

  1. 1 株価上昇が続く理由
  2. 1-1 ゲーム事業の売り上げが好調
  3. 1-2 半導体部門を牽引するイメージセンサー
  4. 1-3 モバイル事業も回復
  5. 2 新技術のイメージセンサーで株価を後押し
  6. 2-1 3層構造イメージセンサー
  7. 2-2 今後の経営戦略は?

 

1 株価上昇が続く理由

ソニーは公式サイトにて2月2日、2016年度第3四半期決算を発表。売上高は前年同期比で7.1%減の2兆3975億円となりました。為替の悪影響やソニーピクチャーズの映画部門で1121億円の減損を計上するなどありましたが、半導体部門とゲーム部門が増収し、営業利益は924億円の黒字となりました。

 

・ 過去10年間のソニー株価推移

株価

 

 

1-1 ゲーム事業の売り上げが好調

ゲーム部門の売上高は前年同期比5.2%増の6177億円となりました。ゲームハード機・PS4およびプレイステーションVRの販売が好調です。

 

・ ゲーム&ネットワークサービス分野の売り上げ

game

 

PS4は1994年に発売された据え置き型ゲームハード・プレイステーション※の最新版です。昨年には4K高解像に対応したプレイスーション4 Proも発売されました。

 

さらに昨年10月に発売されたヘッドマウント型ディスプレイのプレイステーションVR※も販売開始とともに売り切れるなど好調です。

 

ソニーをはじめとする各メーカーはVRソフトの開発に力を入れている状況で、VR市場は今もっとも注目されているテーマといえます。ソニーは人気のPS4ソフトと連携させることで、VRの販売に成功。昨年12月に再販されるもまたもや即完売の人気ぶりで、転売業者から購入しない限り正規の値段で購入するのは困難となっています。

 

PS4本体とAppサービスであるネットワークを通じたソフト販売による売り上げが好調だったため、ゲーム&ネットワークサービス全体で500億円の営業利益を出すことができました。

 

代表執行役副社長兼CFOの吉田憲一郎氏は、「VRは全く新しいユーザーインターフェイスであり、大事に育てたい事業。一過性のブームでなく、長期的に取り組む。ハードウェア、ソフトウェアともにまだまだこれから進化する領域」と語りました。

 

将来的にはゲーム以外にも、ソニーグループが有するカメラや撮影技術、コンテンツ制作力、エンタテインメントの資産を活かすことができる領域と捉えており、新たな事業領域に育てる可能性も視野に入れて投資を続けていく方針です。

 

※ 初代プレイステーションは全世界で1億台以上を売り上げた。現在は第8世代と言われるPS4が2017年1月1日時点で5340万台を突破している。
※ VR(=Virtual Reality)は、目を覆うアイマスクのような装置を頭部に装着することで映像を映し、仮想空間の中にいるような感覚を味わうことができる。

 

 

1-2 半導体部門を牽引するイメージセンサー

前年同期比で16.9%増加となる2339億円を売り上げた半導体部門は、ソニーでもっとも好調な事業といっても過言ではありません。

 

スマートフォンやデジタルカメラなどモバイル機器向けに積層型CMOSイメージセンサー(画像センサー)を生産しており、熊本の工場ではフル操業状態となっています。

 

その結果、前年同期から増収増益となり、272 億円の営業利益を計上。前年同期との比較では、円高によるマイナス影響があったものの、モバイル向けイメージセンサーの数量増などにより59億円の増益となりました。

 

 

・ 半導体分野の売り上げ

半導体

 

とくにアップルのアイフォンやハイエンドスマートフォンでの需要が高く、そのシェアは業界トップ。ソニーが世界をリードする唯一の事業分野となります。

 

しかし2016年度の後半から主力のモバイル向けの需要が減少し、その後の円高によるマイナス影響や昨年4月に発生した熊本地震の影響などもあり、収益性が大幅に低下、今年度においても上期は低調な推移となっていました。

 

しかし第3四半期からは、熊本地震による影響もだいぶ弱まり、足元では中国企業向けの拡大販売効果や最近になって進んだ円安によって収益性は回復基調に乗り出しました。ただ、モバイル向け市場は変動が激しいことから、ソニーはその動向を慎重に観察していくとしています。また、今後はIoT※向けや車載向けで需要が高くなると予測します。

 

※ IoT(Internet of Things=モノとインターネット)では、モノ同士が互いにインターネットを経由して情報のやり取りを行うことを意味する。従来のように人間がパソコンを操作してデータを入力するのではなく、モノが人手を介さずにデータを入力し、インターネット経由でその情報が利用される。

 

 

1-3 モバイル事業も回復

2014年と2015年で巨額の営業損失を計上していたモバイルコミュニケーション分野の業績も持ち直しました。当四半期では前年同期比で35%の減収となりましたが、212億円の営業利益を計上。通年では、2015年度に614億円の赤字だった営業利益は、2016年2月時点見通しでは50億円の黒字に転化しました。

 

・ モバイルコミュニケーション事業の売り上げ

モバイル

 

中南米および中近東におけるスマートフォンの引き下げにより、年間の販売台数を200 万台引き下げ、1,500万台としたことを受けて、ソニーは売上高を200億円下方修正したと説明。

 

さらに営業利益見通しについては、「減収のマイナス影響はあるものの、費用削減や価格維持などによってこれを相殺し、据え置き、目標である通期での営業黒字化を実現したい」としました。

 

 

2 新技術のイメージセンサーで株価を後押し

イメージ

(出典:SONY)

 

ソニーは業界初の新技術を搭載したイメージセンサーで、当分野でのトップの地位を確固足るものにしようとしています。

 

 

2-1 3層構造イメージセンサー

新開発されたイメージセンサーは2月、米サンフランシスコで開催された国際固体素子回路会議(ISSCC)で発表されました。

 

具体的には、DRAMを積層した3層構造の積層型CMOSイメージセンサーを開発。従来の裏面照射型画素部分と信号処理回路部分との2層構造の積層型CMOSイメージセンサーに、さらにDRAMを積層したもので、高速読み出しを実現し、動きの速い被写体の撮影時にも、歪みを抑えた静止画や、フルHD※サイズで毎秒最大1,000フレームのスーパースローモーション動画の撮影が可能になります。

 

・ 従来のイメージセンサー

従来

 

・ 新開発のイメージセンサー

新開発

(参照:SONY ニュースリリース

 

高速読み出しを実現するために、従来の2段から4段構造に倍増するなどにより処理能力の向上を図ることに成功。開発を手がけた担当者は、

 

「本開発では、3層にそれぞれ搭載された回路間のノイズの低減など、設計上の技術的な課題を克服しています。また、ソニーが業界に先駆け長年培ってきた積層型の製造技術や知見などを活用することで、3層化で構造が複雑になっても、高い品質と信頼性を実現しています。」

 

と語ります。

 

・ 主な仕様

有効画素数 5520(H)×3840(V) 2120万画素
イメージサイズ Diagonal 7.73mm(Type 1/2.3)
ユニットセルサイズ 1.22μm(H)×1.22μm(V)
フレームレート 静止画 30fps 4:3 1930万画素/16:9 1710万画素
動画 60fps 4K(3840×2160)
240fps フルHD/720p
読み出し速度 8.478msec(4:3 1930万画素)/6.962msec(16:9 1710万画素)
電源電圧 2.5V/1.8V/1.1V
画像フォーマット Bayer RAW
出力 MIPI(CSI2)D-PHY 2.2Gbps/lane / C-PHY 2.0Gsps/lane
DRAM容量 1G bit

 

※ フルHDとは、1920×1080画素であらわされる解像度のこと。2Kとも呼ぶ。Kは1000の意味で、4Kは水平方向に3,840画素(=約4,000)、8Kは同じく7,680画素(=約8,000)あることから、それぞれ「4K」、「8K」と呼ばれる。(参照:総務省

 

 

2-2 今後の経営戦略は?

昨年6月に行われた経営方針説明会で、ソニーは、2015〜2017年度に向けた中期経営計画で、コンシューマー・エレクトロニクス(家庭用電気機械)分野の復活が、2017年度目標である連結営業利益5000億円の基盤となるとしています。

 

これまでソニーをはじめとする日本の大手家電メーカーは、台頭してきた韓国メーカーや中国メーカーに価格面で対抗することができず、代わりに高機能・高品質を売りに勝負してきました。
しかし「技術が高いものは必ず売れる」といった技術信仰が今日の没落を象徴しているとの批判もたびたび受けました。

 

ところが、2015年3月期決算では国内大手メーカー6社のうち、ソニー以外が黒字決算の見通しが立つなど、まさに“ソニー1人負け状態”となっていました。

 

ソニーは今後もエレクトロニクス、エンタテインメント及び金融の3つの事業領域を柱としつつも、新たな領域にチャレンジする方針です。

 

「家庭での生活をより便利かつ快適に楽しめる用途として、顧客と心のつながりを持ち、育てる喜び、愛情の対象になり得るようなロボットの開発に着手しており、昨年4月に事業化に向けた組織を立ち上げた」(参照:ソニー 2016年度経営方針説明会)

 

将来的には製造工程や物流などを含めた、広範囲な領域でのロボティクス及び AI関連の事業展開も検討するとしました。果たして世界をリードする強いソニーとなることができるのか。今後の動向に注目が集まります。

 

 


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