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エアバックのタカタ倒産!?一部メディアが負債総額1兆円で戦後最大規模になると報じる

(出展:Global News)
(出展:Global News)

欠陥エアバック問題で揺れていたタカタが6月、民事再生法の適用を申請する準備に入ったと一部メディアが報じたことが大きなニュースとなりました。
ところが、タカタはプレスリリースにて「法的手続きの申し立てに関する報道があったが、何も決定していない」と即日否定。倒産の真相は定かではないようです。

 

タカタ製のエアバッグは2014年末に米フロリダで発生した死亡事故などをきっかけに米国内で大きな問題となり、全米規模のリコールを引き起こす事態となった経緯があります。今年に入ってからもタカタ製のエアバッグが異常破裂し、ドライバーが怪我をしたとの事故も発生。度重なる不祥事に一部メディアでは倒産間近かと囁かれていました。

 

果たしてタカタは本当に倒産してしまうのか、それとも倒産せずに企業再生の道を歩むことができるのでしょうか。

 

目次

  1. 1 製造業最大となる1兆円の負債総額
  2. 1-1 製造業の負債総額ランキング
  3. 1-2 倒産報道を即日否定
  4. 2 欠陥エアバッグの一連の流れをおさらい
  5. 2-1 米上院公聴会に召喚される
  6. 2-2 欠陥の隠蔽を認め、10億ドルの支払いに合意
  7. 3 タカタ再建に手を挙げた中国企業子会社「KSS」とは

 

1 製造業最大となる1兆円の負債総額

日本経済新聞は6月16日付けの記事で、経営悪化が続くタカタが民事再生法の適用準備に入り、月内にも東京地裁に申し立てる予定だと報じました。負債総額は2017年3月期連結決算で3978億1200万円、単体ベースでは1826億円3300万円となり、リコール費用を含めると1兆円を上回る見通しだとされます。

 

 

1-1 製造業の負債総額ランキング

東京商工リサーチによれば、これまで製造業における負債総額は、パナソニックプラズマディスプレイによる5000億円が最高額でしたが、タカタが民事再生法の申請に入った場合、1兆円を上回るとの見方が強く、戦後最大規模になる可能性が高いとされます。

 

・製造業の倒産と負債総額一覧

順位 会社名 負債総額 倒産形態
1 パナソニックプラズマディスプレイ 5000億円 特別清算
2 エルピーダメモリ 4480億円 会社更生法
3 都築紡績 2418億円 会社更生法
4 新潟鐵工所 2270億円 会社更生法
5 三田工業 2056億円 会社更生法
6 興人 1500億円 会社更生法
7 永大産業 1350億円 会社更生法
8 林原 1322億円 会社更生法
9 アサヒコーポレーション 1300億円 会社更生法
10 リッカー 1100億円 会社更生法

 

全業種の負債総額を見ると、戦後では協栄生命保険の4兆5296億円が最大規模となり、タカタが倒産すれば9位東京生命保険の9802億円か、10位日榮ファイナンスの1兆円に迫ることが予想されます。

 

・ 全業種の倒産と負債総額一覧

順位 会社名 負債総額 倒産形態
1 協栄生命保険 4兆5296億円 会社更生法
2 リーマン・ブラザーズ証券 3兆4314億円 民事再生法
3 千代田生命保険 2兆9366億円 会社更生法
4 日本リース 2兆1803億円 会社更生法
5 マイカル 1兆6000億円 民事再生法
6 日本航空インターナショナル 1兆5279億円 会社更生法
7 クラウンリーシング 1兆1874億円 破産
8 日榮ファイナンス 1兆円 商法整理
9 東京生命保険 9802億円 会社更生法
10 ライフ 9663億円 会社更生法

 

 

1-2 倒産報道を即日否定

法的続きの申し立て報道を受けて、タカタは倒産についての噂を否定し、エアバッグのリコール問題の対処として、外部専門家委員会を設置し、再建作業に入っていると主張しました。

 

タカタは現在、米エアバッグ製造大手のキー・セイフティー・システムズ(KSS)社の支援を受けて再建中で、従業員・仕入先・顧客関係を含め、タカタの事業全体をKSSが承継する方向で協議中であると明かしました。また、関係する自動車メーカーもこれを支持していると伝えました。

 

また、今後については、

 

「製品の安定供給を継続し、当社の事業価値を全体として維持・向上するため、私的整理に限定することなく、あらゆる選択肢が検討されていると了解しており、当社としては速やかに外部専門家委員会の提案を踏まえて取締役会において最終的に再建策を決定する予定です」(参照:タカタ ニュースリリース2017年6月16日付け)

 

と話しました。

 

 

2 欠陥エアバッグの一連の流れをおさらい

2009年にタカタが製造したエアバッグが原因と見られる死亡事故が米国で発生したことを受け、13年にトヨタやホンダなど4社は380万台をリコールしました。エアバッグが異常破裂した際、内部から飛び出た金属片がドライバーや同乗者に直撃した結果、傷を追ったり、死亡事故につながったとみられます。

 

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(▲異常破裂し、金属内部が破損したタカタ製のエアバッグ)

 

 

2-1 米上院公聴会に召喚される

欠陥エアバッグ問題は次第に米国内で波紋が広がり、14年、米国運輸省道路交通安全局は自動車各社に調査リコールを要請しました。タカタに対する批判が強まるなか、年末に開かれた米上院公聴会で米議員は、タカタの東京本社品質本部の清水博シニア・バイス・プレジデントを厳しく追求。タカタは責任の一部を認めるものの、欠陥隠しは否定しました。

 

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(▲米上院公聴会に出席する清水博シニア・バイス・プレジデント(左端) / 出展:The New York Times)

 

タカタ製のエアバッグをもっとも扱っているホンダは、調査リコールの規模を全米に拡大。タカタもこれに同調し、エアバッグの欠陥を認め、全米で3400万台のリコールを行うとしました。

 

そのようななか再び米国内で死亡事故が発生し、米国運輸省道路交通安全局は、タカタが調査に全面的に協力しなかったとして、タカタに対し1日4000ドル(約166万円)の罰金を科しました。

 

 

2-2 欠陥の隠蔽を認め、10億ドルの支払いに合意

今年1月、タカタは一連のエアバッグの不具合を知りつつ、これを隠蔽していたことを認めました。また被害の可能性に備え、1億2,500万ドル(143億7500万円)の補償基金を設立に加え自動車メーカーのために8億5,000万ドル(97億7500万円)の補償基金を設立し、計10億ドルの和解金を支払うことに合意しました。

 

隠蔽していたことに対して、タカタの高田重久社長はのちに

 

「過去に試験結果報告の抜け漏れや不正確なものが含まれていたことを認識しており、深く反省の上、真摯に受け止めています。」

 

とコメントしました。

 

このほか、タカタは、米国司法省に対して今後3 年間、コンプライアンス体制を強化すること、タカタ側が法令上及び倫理上の義務を遵守しているかを監視し、米国司法省に報告する独立監査人を受け入れることに合意しました。(参照:タカタ ニュースリリース 2017年1月14日付け)

 

 

3 タカタ再建に手を挙げた中国企業の子会社「KSS」とは

巨額の賠償を支払うことなったタカタは、経営再建のためスポンサーを募った結果、中国企業「寧波均勝電子(Ningbo Joyson Electronic)」傘下の米企業キー・セイフティー・システムズ(KSS)が支援に名乗りを上げました。

 

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(▲キー・セイフティー・システムズ社ホームページ / 出展:)

 

タカタは、KSSについて外部専門家委員会が推薦するスポンサー候補の一つとしていますが、KSSが設立する新会社が事業を買い取り、エアバッグやシートベルトの製造を続けるとされています。

 

巨額の賠償金については、タカタ一社では支払うことができず、大半を自動車ベーカーが負担しています。
果たしてタカタは民事再生法の適用を受けずに経営再建を図ることができるのか。今後の動向に注目が集まります。

 

※ 寧波均勝電子は、自動車電子部品などを取り扱う中国企業で、2011年にドイツの電子部品メーカーPreh、2016年にはキー・セイフティー・システムズを買収するなどグローバル化を加速させている。

 

 


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