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【飛行機の自動運転が先?】ボーイング、2018年にテスト飛行実施へ

米紙シアトルタイムズは6月、アメリカ最大手の航空宇宙開発メーカーのボーイングが、パイロット不要で人工知能を搭載した自動制御による旅客機の飛行テストを2018年に臨む方針であることを明らかにしました。

 

AIによる完全自動運転技術は、自動車業界では2020年を目処に開発が進められていますが、実現すれば乗り物としては最速となる可能性も出てきました。信号や標識がないぶん、クルマの自動運転よりも飛行機を無人で空に飛ばすほうが安全とも言われてきた空の世界。来年にも運転手を必要としない乗り物の完成となるのでしょうか。

 

 

目次

  1. 1 パイロットなしで飛行する旅客機を開発
  2. 1-1 すでに導入されているオートパイロットシステム
  3. 1-2 自動操縦に頼った結果、大事故に
  4. 2 ボーイングとCMUによる自動操縦開発に関する取り組み
  5. 2-1 3年間で8億円を投資
  6. 2-2 ディープラーニングでAIパイロットの育成
  7. 3 パイロット不足が開発を後押し?

 

1 パイロットなしで飛行する旅客機を開発

米紙記事によると、ボーイング社はパイロット不要の人工知能のみで自動制御する旅客機の開発にすでに着手しており、元チーフシステムエンジニアで現副社長のマイクシネット氏は、パリで行われた航空ショーで「(AIが)熟練飛行士と同レベルの操作を行うことができれば、(完全自律飛行に)移行可能だ」と話しました。

 

シネット氏の開発チームは今年中にも、パイロットのような決断を下すことができる人工知能システムを使用したフライシミュレーターで飛行テストを行うつもりで、2018年にはエンジニアとパイロットを同乗させたうえで、実際の飛行機で実証実験を行うとしました。

 

 

1-1 すでに導入されているオートパイロットシステム

Airbus autopilot instrument panel dashboard

 

飛行機における自動操縦は、自動車同様に完全ではないものの、自律の飛行システムが使用されています。これをオートパイロットシステム※と呼びます。既に上空での巡航は自動操縦が基本となっており、離着陸や緊急時のみ手動に切り替えるといったシステムになります。

 

自律飛行では飛行経路の自動補正や高度・速度の維持などを人工知能が代わりに行い、その際パイロットは、計測器の監視や管制官との情報のやり取りを行います。長時間フライトしなければならないパイロットの負担軽減に役立つといったメリットがあります。

 

 

1-2 自動操縦に頼った結果、大事故に

しかし、自動操縦に頼りすぎた結果、緊急時に手動操縦できないパイロットが大事故を引き起こすなどの問題も発生していました。2013年に起きた韓国アシアナ航空墜落事故では、米国国家安全運輸委員会は、事故の原因をパイロットが自動操縦から手動に切り替えた結果発生した人為的なミスであると断定。ベテランのパイロットたちが自動操縦に頼りすぎ、機能の意味をよく理解しないまま操縦していたとされました。

 

※ オートパイロットシステムでは、3つの基本的な役割があり、①突風などの外乱に対して、飛行機の姿勢をより安定させる、②あらかじめ設定した方向に飛行し続けさせる、そして、③飛行機を上昇、下降、旋回させる。現在、気象や空港設備などの条件がすべて整っていれば、離陸以外の飛行操作(上昇、水平飛行、着陸など)をオート・パイロットで行うことができるほど、コンピュータのサポートによる飛行技術は進んでいる。(参照:JAL)

 

 

2 ボーイングとCMUによる自動操縦開発に関する取り組み

ボーイングと米カーネギーメロン(CMU)大学は、機械学習※とデータ分析を行うため、2015年、航空宇宙データ分析研究所を設立しました。

 

 

2-1 3年間で8億円を投資

両研究チームは人工知能とビッグデータを使用することで、最新の航空機の設計や運用で生成される膨大な量のデータを解析。人為ミスさえもフォローできる自動操縦など人工知能を利用して航空機を安全に飛ばす技術の研究に取り組みます。
ボーイングは2018年までに750万ドルを同研究所に投じる予定です。

 

カーネギーメロン大学のスブレ・スレシュ(Subra Suresh)学長は、

 

「わが大学とボーイングの研究者は30年以上に渡って協力関係を築いてきており、同大学から何百人もの卒業生がボーイングに勤務していることを誇りに思っている。ボーイングと共同設立した研究所はCMUの特有の知的な強みを活用して、飛行機に乗っているすべての人に利益をもたらすだろう」

 

と述べました。

 

cmulab

(▲カーネギーメロン大学のラボ / 出展:TechCrunch)

 

 

2-2 ディープラーニングでAIパイロットの育成

Airplane Routes

(出展:Trip Designs)

 

米ニュースサイト「WIRED」によれば、研究チームは現在、デスクトップ版のフライトシミュレーター「X-Plane」の高性能プロ向けバージョンを使って、悪天候やエンジンの故障・出火、緊急着陸や旋回といった状況下でのボーイング777型機の操縦法をオート・パイロットに教えているといいます。

 

「まず学習課題を人間の教官がやってみせ、システムにそれを観察させます。すると、ニューラルネットワーク※を通して学習モデルが生まれます。そのうえで、オート・パイロットに操縦をすべて委ね、教師のやり方をまねるのを今度はわたしたちが観察するのです」(参照:wired japan 2017年5月24日付け)

 

※ 機械学習とは、与えられた情報データから学習してパターンを見つけ出すこと。一方、ディープラーニング(深層学習)では、ヒトが考えるかそれ以上にデータの特徴を多段階に、深く学習することができる。
※ ニューラルネットワークとは、ヒトの脳神経を模した機械モデルであり、ディープラーニングを支えるアルゴリズム。

 

 

3 パイロット不足が開発を後押し?

ユナイテッド航空が6月より日本路線でボーイング777の導入を決めたように、ボーイングは今後、商用ジェット機の需要増加が見込まれると予測します。
同社マイクシネット副社長は、今後20年間で、ボーイング社は約4万機の新しい商業用ジェット機が必要となると話しました。

 

ところが航空業界はLCCの普及により近年稀に見るパイロット不足に陥っています。拡大する航空需要に人員が追いつけず、格安航空会社のスピリットではパイロットが待遇改善を求めてストライキ※を起こすなど業界全体の問題となっています。

 

また、パイロットは高度な専門知識が要求されるうえ、人件費も高いため、人材確保がより困難となっている模様。ボーイングはこういった航空業界の事情からも無人旅客機の開発を急がなければならないとしていました。

 

※ アメリカとカナダの5万5000人以上からなるALPA(パイロット組合※)によれば、スピリット航空とパイロットは2015年2月から待遇改善などを盛り込んだ新契約の交渉に臨んでおり、組合によれば、スピリット航空は平均以上の利益を出しているのにも関わらず、パイロットに対して業界最低レベルの賃金しか払っておらず、組合側は給与の増額とそのほか、休暇日数などの条件改善を求めていました。

 

 


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