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「日本で入居拒否されたことがある」外国人4割 法務省初の全国調査で明らかに

(出展:CBS News)
(出展:CBS News)

年々増加する国内の外国人移住者。2016年末における在留外国人数は前年比6.7%の増加となる238万2822人で、過去最高となりました(法務省発表数値)。
人口減少が続くなか、政府は外国人労働者の受け入れに積極的で、今後も増加傾向はさらに強まるとの見方がされています。

 

国際社会のグローバル化にともない、日本においても外国人との共生実現に向けた環境整備が求められており、法務省は今年3月、在留外国人が直面している人権問題などに関する調査を行い、報告書にまとめました。「外国人住民調査報告書」によると、外国人であることを理由に入居を断られた経験のある人が約4割にのぼることがわかりました。

 

ヘイトスピーチなどさまざまな人種差別問題が表面化してきた昨今の日本社会。

 

本記事では法務省が今年6月に公表した「外国人住民調査報告書」(訂正版)をもとに、外国人が直面している問題を整理していきます。

 

 

目次

  1. 1 外国人の入居はお断り?
  2. 1-1 入居を断られた外国人は39.3%
  3. 1-2 断られた経験がある国はタイ、中国、朝鮮が半数以上
  4. 2 就職を断られた外国人25%
  5. 2-1 外国人だから就職できない?
  6. 2-2 日本語能力は関係なく就職を断られる
  7. 3 外国人であることを理由に侮辱を受けたことがない、約67%
  8. 3-1 半数以上が「見知らぬ人」から言われる
  9. 3-2 外国人差別の解消に向けて

 

1 外国人の入居はお断り?

調査対象となったのは、国内37都市※に在留する18歳以上の外国人で、有効回答数4252人(回収率23%)、中国・韓国・フィリピンなど17カ国以上から回答を得ることができました。

 

 

1-1 入居を断られた外国人は39.3%

過去5年間に日本で住居を探した経験のある人(2044人)に対する調査では「外国人であることを理由に入居を断られた」経験がある人は39.3%いることがわかりました。

 

また、「日本人の保証人がいないことを理由に断られた」人の割合は41.2%で、「『外国人お断り』と書かれた物件を見てあきらめた」人は26.8%であることが明らかとなりました。

 

・ 入居に際する差別、偏見の有無

  経験ある 経験ない
外国人であることを理由に入居を断られた 39.3% 52.5%
日本人の保証人がいないことを理由に断られた 41.2% 48.4%
「外国人お断り」と書かれた物件を見てあきらめた 26.8% 56.8%

(法務省「外国人住民調査報告書」より作成)

 

最初

 

1-2 断られた経験がある国はタイ、中国、朝鮮が半数以上

外国人であることを理由に入居を断られた割合を国・地域別にみると、タイが最多の53.1%、ついで中国51.0%、朝鮮50.0%、ブラジル47.5%、インド46.7%となります。一方、「断られたことがない」とする割合は、イギリス75.8%が最多で、ついでペルー72.0%、韓国70.2%、インドネシア69.0%、アメリカ67.9%となりました。

 

また、「日本人の保証人がいないことを理由に入居を断られた」外国人は中国57.4%が最も多く、ついでネパール53.3%、台湾52.7%、ベトナム48.5%、ブラジル47.8%となりました。
一方、「日本人の保証人がいないことを理由に入居を断られた」経験がない割合は、イギリス75.8%が最多で、ついでペルー70.8%、韓国68.5%、フィリピン65.0%、タイ64.5%、アメリカ64.2%とつづきました。

 

・国・地域別にみた「外国人であることを理由に入居を断られた」割合

中国 51.0%
韓国 29.8%
フィリピン 36.5%
ブラジル 47.5%
ベトナム 46.4%
ネパール 37.0%
アメリカ 32.1%
台湾 43.8%
ペルー 28.0%
タイ 53.1%
インドネシア 31.0%
朝鮮 50.0%
インド 46.7%
イギリス 24.2%
ミャンマー 41.7%
ロシア 37.5%

(法務省「外国人住民調査報告書」より作成)

 

入居拒否

 

 

1-2 断られた外国人の声は

報告書では、実際入居を断られたことがある外国人の意見として、次のような声が寄せられました。

 

「不動産屋に一人で賃貸物件の問い合わせをした際の出来事です。まず、外国人と分かっただけで態度が変わりました。さらに夫婦ともフィリピン人と伝えたところ、さらに厳しい対応をされました。大家さんからは外国人には貸さないと言われました。次に、夫婦で別の不動産屋に行ってみましたが日本人の保証人がいないと借りられないと言われました。『夫婦とも永住ビザを持っております』と言ってみたのですが、条件に満たないため無理と断られました。(女性/40歳代/フィリピン)」

 

※ 37都市の内訳は、札幌市、宇都宮市、伊勢崎市、太田市、さいたま市、川口市、千葉市、市川市、松戸市、東京都港区、東京都江東区、東京都品川区、東京都目黒区、東京都世田谷区、東京都中野区、東京都葛飾区、東京都江戸川区、八王子市、横浜市、川崎市、相模原市、新潟市、岐阜市、静岡市、浜松市、名古屋市、豊橋市、豊田市、四日市市、京都市、大阪市、堺市、東大阪市、神戸市、姫路市、尼崎市、福岡市となる。

 

 

2 就職を断られた外国人25%

過去5年間に日本で仕事を探したり、働いたことがある外国人を対象とした調査では、外国人であることを理由に就職を断られた人が4人に1人いることがわかりました。

 

 

2-1 外国人だから就職できない?

日本で仕事を探すさい、もしくは働いたさいに差別的な待遇を受けた種類として、最も多かったのが、「外国人であることを理由に就職を断られた」25.0%で、ついで、「同じ仕事をしているのに、賃金が日本人より低かった」19.6%、「勤務時間や休暇日数などの労働条件が日本人より悪かった」12.8%、「外国人であることを理由に、昇進できないという不利益を受けた」17.1%となりました。

 

・ 労働における差別的扱いの有無

  経験ある 経験ない
外国人であることを理由に就職を断られた 25.0% 65.6%
同じ仕事をしているのに、賃金が日本人より低かった 19.6% 69.1%
勤務時間や休暇日数などの労働条件が日本人より悪かった 12.8% 74.5%
外国人であることを理由に、昇進できないという不利益を受けた 17.1% 68.8%
外国人であることを理由に解雇された 4.4% 80.7%
上司から外国人であることを隠すよう指示された 3.1% 81.3%

(法務省「外国人住民調査報告書」より作成)

 

就職

 

 

2-2 日本語能力は関係なく就職を断られる

「日本語でどの程度会話ができるか」など本人の日本語能力別に調査も行われ、

 

「外国人であることを理由に就職を断られた」人のなかで、「日本人と同程度に会話できる」「仕事、学業に差し支えない程度に会話できる」「日常生活に困らない程度に会話できる」人を合計すると約95%にのぼりました。

 

また、同様の調査を各質問事項で行った結果、「同じ仕事をしているのに、賃金が日本人より低かった」ケースでは84.6%、「勤務時間や休暇日数などの労働条件が日本人より悪かった」ケースでは82.4%、「外国人であることを理由に、昇進できないという不利益を受けた」ケースでは91.3%、「外国人であることを理由に解雇された」ケースは90.6%、「上司から外国人であることを隠すよう指示された」ケースは96.2%となりました。

 

法務省は、「仕事に関する差別の経験には、日本語の会話の程度はあまり関係がないことがうかがえる」とコメントしました。

 

  日常会話以上の 日本語ができる 日本語はほとんどできない
外国人であることを理由に就職を断られた 94.9% 4.0%
同じ仕事をしているのに、賃金が日本人より低かった 84.6% 12.1%
勤務時間や休暇日数などの労働条件が日本人より悪かった 82.4% 14.5%
外国人であることを理由に、昇進できないという不利益を受けた 91.3% 6.5%
外国人であることを理由に解雇された 90.6% 8.5%
上司から外国人であることを隠すよう指示された 96.2% 3.8%

 

 

3 外国人であることを理由に侮辱を受けたことがない、約67%

住居や仕事を探すさいに「外国人であること」が障壁となっていることがわかった法務省初の調査。労働力確保に向けた差別的な取り扱いを解消する努力が求められる一方で、日常生活で差別的な発言を受けたことがあるかどうかの調査も行われました。

 

過去5年間で「外国人であることを理由に差別なことを言われた」経験があるのは29.8%でした。このうち「よくある」が2.7%、「たまにある」が27.1%となります。

 

 

3-1 半数以上が「見知らぬ人」から言われる

「よくある」「たまにある」と応えた人のうち、誰から言われたかの調査では、「見知らぬ人」が最も多く53.3%、ついで「職場の上司や同僚・部下、取引先」38.0%、「近隣の住民」19.3%、「店・レストランの従業員」15.8%、「公務員や公共交通機関の職員」12.9%となりました。

 

・ 差別的発言を誰から言われたか

見知らぬ人 53.3%
職場の上司や同僚・部下、取引先 38.0%
近隣の住民 19.3%
店・レストランの従業員 15.8%
公務員や公共交通機関の職員 12.9%
日本人の知人・友人 12.4%
学校の教師や生徒、生徒の保護者 10.5%
日本人のパートナーの親族 6.7%
日本人のパートナー(恋人や結婚相手) 6.9%

 

 

3-2 外国人差別の解消に向けて

外国人のうち約3割がなんらかの差別を受けたことがあるとわかった今回の調査。しかし、差別を受けたことのある人のうち7割は、だれにも相談していないという実態も浮き彫りとなりました。

 

全国各地に置かれている法務局では人権に関する相談も受け付けていますが、85%の外国人が存在自体を「知らない」と回答しているといいます。これを受けて法務省は「今回の外国人の実態調査の結果等を十分考慮し、法務省及び当センターにおいては、引き続き、外国人を取り巻く社会状況の改善に向けてより活発な人権教育啓発活動に取り組む」としました。

 

 


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